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U-18日本代表候補が初実戦、神田・稲垣・網代のゴールで流通経済大に勝利! 終了後にはPK戦も実施

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城和憲氏が率いるU-18日本代表候補

[3.1 練習試合 U-18日本代表候補 3-1 流通経済大 JFA夢フィールド]

 U-18日本代表候補は1日、千葉市内の高円宮杯JFA夢フィールドで流通経済大とトレーニングマッチ(30本×3本)を行い、3-1で勝利した。FW神田奏真(静岡学園高)、DF稲垣篤志(浦和ユース→明治大)、FW網代陽勇(尚志高)が得点。3日には再び大学生とのトレーニングマッチを行い、最初の合宿を締めくくる。

 U-18日本代表候補は、2025年のU-20ワールドカップを目指すメンバー。今活動からチームが正式に立ち上がり、流通経済大のトレーニングマッチが初陣となった。今年のU-20W杯に向けた戦いが続いていることもあり、現段階の監督はJFAコーチが担当。今回は昨年のU-17世代を率いていた城和憲氏が指揮を執っている。

 トレーニングマッチは4-4-2のシステムをベースに臨んだ。1本目はGK小林将天(FC東京U-18)がゴールを守り、最終ラインは左からDF池田春汰(横浜FMユース)、DF喜多壱也(京都U-18)、DF市原吏音(大宮U18)、稲垣。ダブルボランチはMF石渡ネルソン(C大阪)とMF由井航太(川崎F U-18)が組み、サイドハーフは左がMF鈴木陽人(名古屋U-18)、右がMF早川隼平(浦和ユース)。2トップはFW貴田遼河(名古屋U-18)と神田が組んだ。

 序盤は新3年生主体の流通経済大に押し込まれる場面も続いたが、すぐに積極的なプレッシングと素早い速攻で主導権を奪回。8分、中盤でのボール奪取からカウンター攻撃を仕掛けると、貴田が鋭いドリブルから左に展開し、池田が惜しいシュートを放った。

 その後も攻勢を続けたU-18日本代表候補は11分に先制点を奪取。右コーナーキックのクイックリスタートから早川がゴール前にクロスを送ると、ニアサイドで合わせた神田がヘディングシュートを叩き込んだ。

 セットプレーからのゴールは狙いどおりの形。今活動では日本代表全カテゴリのセットプレーコーチを務める菅原大介氏が帯同しており、この日の午前も入念に確認を行っていたという。城監督は「昨日の夜から映像を確認していて、今日もかなりしっかりと落とし込んできた。コーチ陣も寝る間を惜しんで分かりやすく伝えてくれていた。こうしたところで得点を奪うのは勝ち上がるには必要だと思っているので良かった」と手応えを口にした。

 1点リードとした後は流通経済大の力強い攻勢に対し、自陣に引かされる時間帯も続いたが、GKの小林やCBの市原が随所で体を張ってピンチを防ぐ。すると19分、由井のボール奪取を起点に貴田が惜しいシュート。23分には石渡の縦パスを受けた早川が強烈なカットインシュートでGKを襲った。

 そうして迎えた26分、U-18日本代表候補が追加点。SBの稲垣が右サイドを攻め上がると、同じ浦和ユースの早川とのパス交換からペナルティエリア右に侵入し、角度のないところから強烈なシュートをねじ込んだ。これで2-0。手応えの残る結果で1本目を終えた。

 2本目はCBコンビ、ダブルボランチ、2トップのセンターラインを除いて選手を交代。GKは濱崎知康(川崎F U-18)が務め、サイドバックは左にDF桒原陸人(G大阪ユース→明治大)、右にDF本間ジャスティン(神戸U-18)、サイドハーフは左にMF中川育(広島ユース)、MF平賀大空(京都)が入った。

 ここからは前半やや引き気味だった由井、石渡のダブルボランチが盤石の存在感を発揮。6分には由井を起点に貴田、平賀がつないで惜しい場面を作ると、相手の攻勢に対しても中盤でほとんどボールを処理し、年長世代にも顔負けしない強度の高さが目立った。

 そして15分には再び大幅な選手交代。1本目に出場していたCB、ボランチ、2トップが皇太子、CBは左からDF畑野優真(横浜FMユース)とDF尾崎凱琉(大阪桐蔭高)、ボランチにMF林奏太朗(鳥栖U-18)とMF清水大翔(C大阪U-18)、2トップにFW横山夢樹(帝京高)とFW網代陽勇(尚志高)が入った。

 ここで存在感を放ったのが網代。積極的な裏抜けで何度かボールを引き出すと、21分には左サイドに流れてカットインし、鋭いクロスから平賀の惜しいシュートを演出した。またサイドハーフの平賀と中川も持ち味のドリブル突破でチャンスに関与。それぞれ果敢なカットインシュートで相手ゴールに襲いかかったが、枠を捉えられなかった。

 3本目は再び大きく選手交代。GKは中村圭佑(静岡学園高)が務め、SBは左にDF水木康誠(横浜FCユース)、右にDF櫻井稜(鹿島学園高)が入った。ボランチの一角では林がMF神田拓人(尚志高)と交代し、サイドハーフは左にMF岡崎寅太郎(川崎FU-18)、右にMF永田滉太朗(横浜FCユース)が起用された。

 途中からは岡崎が前線、横山が左サイドハーフに移り、異なるポジションでのプレーにもトライ。横山が鋭い切り返しで相手を抜き去る場面もあった。13分には最終ラインからのロングフィードに抜け出した網代が見事なループシュートで追加点。終了間際には流通経済大に左サイドを崩され、MF森田典磨(新4年=武相高)のゴールで1点を返されたが、3-1で勝利した。

 年長の大学生に気圧されることなく、局面でのバトルでも劣らない姿勢が目立った勝利。城監督は「そこはベースで求めているところ。U-17からの積み上げがある選手と、今回は初招集のメンバーを組み合わせながらやっているが、僕の年代はまずそこをベースにやっていくことは常に求めているし、選手たちがすごく取り組んでくれている」と胸を張った。

 この年代の代表選手ともなれば、ゴールセンス、ドリブル、足元の技術、ビルドアップなど各選手のセールスポイントがそれぞれある。城監督も「彼らのタレント性、個性をここで出してほしいという思いで選んでいるし、そういったところで最後は違いを作らないといけない」と長所を出すことを求めている。

 だが、それらの能力が発揮されるのも、局面で戦えるベースがあってこそだ。指揮官は「戦うとかチームのために努力することができないという選手はやっぱり残れない。またそれがあった上で長所を発揮できない選手も残れないかなと思う」と高い要求を掲げつつ、「そうしたところを1回目で発揮するのは無理だと思う。しっかりと追っかけながらU-20のW杯に向けてどう成長していくかが選考の基準になってくると思う」と長い目で見ていく姿勢を明確にした。

 またチームビルディングを進めていくにあたっては「ここを目指していくぞというのは伝えているし、新しいメンバーを加えながら競争が始まっていくぞという話はしている」(城監督)と25年のU-20W杯、28年のロサンゼルス五輪を目指す意識をはっきり伝えつつ、その先にあるA代表へのロードマップも描いているという。

 30×3本のトレーニングマッチ後には、日本代表がカタールW杯で苦杯をなめたPK戦も実施。意識の面では高いレベルを見据えつつ、この年代の選手たちに合わせたチームを作っていくことが当面の目標になりそうだ。

「やっぱり代表を目指すべきだというのは常に言い続けているし、PK戦はやっぱり意識の部分で変えていかないといけないということで取り入れた。戦い方は合わせる必要はないし、必ずしも同じことをやる必要はないと思っているけれど、僕らが目指したい景色は一緒。そこの目標は変えずに、あと自分たちの力をどう発揮できるかというチームを作っていくという方向で進んでいこうとしています」(城監督)

(取材・文 竹内達也)

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