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U-16日本代表がU-16インターナショナルドリームカップで世界に挑戦。交代出場FW神代慶人が追撃ゴールも、アメリカに敗れて黒星発進

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U-16日本代表はU-16アメリカ代表と対戦。MF仲山獅恩(東京Vユース)が相手の大型CBと競り合う

[5.31 U-16インターナショナルドリームカップ第1戦 U-16日本代表 1-2 U-16アメリカ代表 Jヴィレッジスタジアム]

 U-16日本代表、U-16オランダ代表、U-16アメリカ代表、そしてU-16ナイジェリア代表の4チームが総当たりのリーグ戦で優勝を争う「U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」が31日、福島県のJヴィレッジで開幕した。U-16日本代表は初戦でU-16アメリカ代表と対戦。後半アディショナルタイムにFW神代慶人(熊本U-18)のゴールで1点を返したが、1-2で敗れた。U-16日本代表は6月2日の第2戦でU-16ナイジェリア代表と対戦する。

 U-16世代の代表選手にとっては、昨年11月のスペイン遠征、今年3月のフランス遠征に続き、貴重な国際試合の経験だ。フランス遠征からU-17日本代表へ引き上げられた選手など約半数が入れ替わる中での「U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」。初招集組を含めた選手たちは、国際試合の難しさも感じて初戦を終えた。

 2日前に集合したばかりで1日のトレーニングを挟んで迎えたアメリカ戦。所属チームの公式戦の出場時間なども考慮してのメンバー構成となった。先発はGKが亀田大河(神戸U-18)で4バックが右SB森壮一朗(名古屋U-18)、CB酒井舜哉(大宮U18)、CB島佑成(神戸U-18)、左SB佃颯太(横浜FCユース)。ダブルボランチがゲーム主将の長田叶羽(G大阪ユース)と布施克真(日大藤沢高)、右SH濱崎健斗(神戸U-18)、左SH仲山獅恩(東京Vユース)、2トップは関口航汰(清水ユース)と前田勘太朗(横浜FCユース)がコンビを組んだ。

 前半の戦いについて、廣山望監督は「前半、特に向こうのギアが上がり切る前に質を上げて点を取り切るようなシーン、人数をもう少し掛けてゴール前係わって関係性を持って崩すシーンがあれば前半のところで上回れたと思うんですけれども……」と振り返る。9分に自陣でボールを失ったものの、島がシュートブロック。日本は奪ったあとのビルドアップでミスも出ていたが、奪い返しからの速攻や森の迫力のある攻撃参加などを活用して押し返し、シュート数8-1と圧倒する。

 11分、強引に前を向いた前田が前進し、右でパスを受けた濱崎がエンドライン際で仕掛けてFKを獲得。14分には守備面で貢献していた布施のインターセプトから関口がドリブルシュートへ持ち込んだ。20分に関口、22分には長田が良い形の守備から攻撃へ持ち込んでシュート。酒井や島から縦パスが入った前半終盤には、仲山がラストパスや、一気に仕掛けてシュートを打ち込んだ。

 圧倒的な高さを持つ相手CBニール・ピエール(フィラデルフィア・ユニオン)にヘディングシュートを浴びるシーンもあったが、島や亀田を中心にほぼ危なげない守りで無失点。前半終了間際には仲山とのコンビで前田が左エンドライン際を抜け出す。だが、シュートはGKパトリック・ロス(シカゴ・ファイアーFC)に止められ、0-0で前半を終えた。

 後半、膠着した展開が続く中、日本は11分に関口と濱崎に代えてFW神代と右SH川崎幹大(札幌U-18)を投入する。だが、アメリカは後半に入ってギアチェンジ。15分、森が自陣深い位置で相手の強力FWニムファシャ・バーチマス(シャーロットFC)の突破を一度止めたが、ルーズボールを素早く拾ったバーチマスにパスを繋がれると、最後は10番MFサンティアゴ・モラレス(インター・マイアミCF)にゴールへ押し込まれた。

 先制された日本は20分に再び2枚替え。布施と前田に代えて右SH菅原悠太(FC東京U-18)とFW大石脩斗(鹿児島城西高)をピッチへ送り出し、川崎をボランチへ移した。日本は左の佃が精力的にボールに係わろうとしていたほか、右サイドでは菅原が一際ゴールへの意欲を示し、仕掛けやクロスに持ち込んでいた。

 日本は長田がチームをコントロールし、前からボールとゴールを奪いに行く。そして、サイドに起点を作ってクロスの本数を増加。だが、単調なクロスではアメリカの高い壁を破ることができない。また、守備面では相手のスペースを活用した攻撃に酒井や島が粘り強く対応していたものの、38分に失点。相手右CKのこぼれ球を拾われ、最後は交代出場FWショーン・ペトリー(FCバルセロナ・アリゾナ)に追加点を奪われた。

 この後、川崎と菅原のコンビで打開を図ったり、クロスに神代や大石が飛び込もうとするが得点に結びつけることができない。それでも45+4分、仲山が右足で狙ったFKが左ポストをヒット。跳ね返りを神代が右足で押し込んで1点を返す。だが、反撃はここまで。日本は黒星スタートとなった。

 廣山監督は将来、ワールドカップのベスト16などで戦う可能性のあるチームとの3試合について、「ワクワクでしかない」と語る。「日本にはないような、試合の流れの中でフワッとしていると思ったらグッと力が上がって矢印が急に出てきたとか。自ら波を作ってくるところや苦しい時に波を持ってくるところは我々は見習わないといけないし、超えていかないといけない」。

 昨年のスペイン遠征や今年のフランス遠征の参加者は経験値を持っていたが、今回、また新たな学び。指揮官は「ゲームのコントロールや苦しい時のメンタリティーが積み重なって将来の苦しい時に勝ち切ると信じて。(今大会の経験を)絶対に無駄にしないで、成長の糧にして欲しい」と期待した。

 選手たちにとって、今大会は将来のワールドカップやオリンピックへ向けた貴重な経験であり、今年行われるU17アジアカップ、U-17ワールドカップへのアピール機会だ。関口は「一つ上の代表に自分が主力として入っていけるように。今もめちゃくちゃ目指している」とコメント。また、インターナショナルドリームカップで優勝するという目標に変わりはない。長田は「今日1試合してそれぞれの良さは分かったと思うので、残り2試合全力で勝ちにいきたい」と宣言。残り2試合勝って、経験を重ねる。

U-16日本代表の先発メンバー

後半45+4分に交代出場FW神代慶人(熊本U-18)が追撃ゴールも…

(取材・文 吉田太郎)

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