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戦う部分も表現。鹿島ユースのCB大川佑梧は、U-16インターナショナルドリームカップMVPを“通過点”に

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U-16日本代表CB大川佑梧(鹿島ユース、右)が日本サッカー協会の田嶋幸三会長よりMVPのトロフィーを受け取る

[6.4 U-16インターナショナルドリームカップ第3戦 U-16日本代表 4-2 U-16オランダ代表 Jヴィレッジスタジアム]

 U-16インターナショナルドリームカップ最終戦で、U-16日本代表はU-16オランダ代表を撃破。逆転での優勝を飾った。そして迎えた表彰式、大会MVPとしてコールされたのは、鹿島アントラーズユースのDF大川佑梧だった。

「ビックリした。正直、自分ではないと思っていた」

 最初はちょっと戸惑いの表情も見せたものの、日本サッカー協会の田嶋幸三会長よりトロフィーを受け取ると、笑顔で記念写真におさまった。

「凄く良い大会のMVPをもらえて素直に嬉しいし、これからもっと頑張っていかないといけないと思わされた」

 大会では勝利を収めた2試合にCBとして先発フル出場。6-1と大勝したU-16ナイジェリア代表戦ではゲームキャプテンも務めた。そのナイジェリア戦でも、優勝を決めたオランダ戦でも、高さのある相手に堂々と渡り合いつつ、味方のカバーリングもこなして粘り強い対応を披露してみせた。

 チームを率いた廣山望監督も、その成長ぶりを高く評価し、こう語る。

「昨年の代表活動から成長がかなりあるという点も含め、今大会も戦う気持ちを本当に出してくれた。予測や準備の部分をしっかりやりながら、プラスアルファの『戦う』という部分を出してくれたことを考えると、MVPに値すると思う」

 また、オランダ戦では守るだけでなく攻撃面での特長も披露した。「キックは得意」と語るとおりの一発が飛び出したのは1-1で迎えた前半10分のこと。サイドハーフの位置から巧みに裏を狙うタイミングを見計らっていたMF菅原悠太(FC東京U-18)を視界に捉えると、「目が合ったので」と、すかさず左足を一振り。相手DFの裏へと落ちる絶妙な弾道で逆転ゴールをアシストしてみせた。

「いつも自分はあそこを観てはいるので、スガ(菅原)がよく狙っていてくれた。左足のキックは自分の武器なので」

 また試合を通して「すごく駆け引きが上手かった」と言うPSVのFWサミ・ブフダンと熱い攻防にも刺激を受けたほか、「相手のセンターバックの持ち運びとかも『上手いなあ』と思って観ていました。自分の参考にもなるので、また映像を見返したい」と、さらなる向上への意欲も燃やす。

 6月に開幕するAFC U17アジアカップのメンバーからは惜しくも落選(サポートメンバーとして国内合宿に帯同)。U-17日本代表の森山佳郎監督は大川が最終候補にいて選出するか迷った選手であることを明かしつつ、さらなる成長に期待を寄せる。大川自身も同級生たちのメンバー入りを「悔しかった」と認めつつ、世界大会で逆転でのメンバー入りを狙う。

 このMVPは通過点だった。数年後にそんな振り返りができるような大きな成長を期待したい。

(取材・文 川端暁彦) 

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