[6.26 AFC U17アジアカップ準々決勝　U-17日本 3-1 U-17オーストラリア]

「自分は目立たなくてもいい。チームが勝ってくれれば」

　常日ごろからそう語ってきたU-17日本代表のキャプテン、DF小杉啓太(湘南U-18)だが、AFC U17アジアカップ準々決勝はそんな守備職人が「目立つ」試合だった。

　前半は相手のキーマンであるFWダニエル・ベニーとマッチアップ。「裏へ抜ける動きをしてくる選手なので、あえて早めに下がってパスコースを消しながらインターセプトを狙ってやれた」と冷静に対応しつつ、コンタクトプレーになっても強さを発揮してこれを封殺してみせる。

　後半はオーストラリアの“超U-17級”FWネストリー・イランクンダとのマッチアップになり、「自分のマークからやられた」という悔しい失点を喫することとなったが、そこで気持ちが折れるのではなく対応を修正。「距離を考えて、相手に合わせながらも最後は持っていく」というイメージを持って対処。その後は激しくぶつかり合いながらも仕事をさせなかった。

　試合後、そのイランクンダと抱き合って互いの健闘を称え合ったキャプテンについて、森山佳郎監督はこう語る。

「すごいキャプテンですよ。一度はやられたけど、その後は全部彼がカバーするくらいのプレーをやってくれた。今日の試合前も、監督はいろいろ言葉を尽くして何とかしようとしてたんですけど、小杉が一声掛けたらビシッと引き締まった」

　取材エリアに現れた小杉の気持ちも、早くも次へと切り替わっていた。

「チームとしては優勝に向けてもう一度引き締め直して、個人としては『マッチアップする相手に絶対やられない』ということをもう一度意識していきたい」

　勝ったことには喜びつつも、チームの目標はあくまで優勝であり、世界切符は通過点。その目線は「次」へと向いていた。

(取材・文　川端暁彦)

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