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石川・鵬学園の在校生で初の年代別日本代表選出。CB鈴木樟「ここでチャンスを掴めるか、掴めないかは自分次第」

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年代別日本代表初選出のCB鈴木樟(鵬学園高)は自分の強みを発揮していた

[8.8 Balcom BMW CUP第1節 広島ユース 2-4 U-17日本代表 広島広域公園第一球技場]

 鵬学園高(石川)の在校生で初となる年代別日本代表選出。U-17日本代表CB鈴木樟(3年)が、「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」開幕戦(対広島ユース)で先発デビューを果たした。
 
 前半は「ビビっていた部分もあった」と振り返る。その中でも、広島ユースのU-17日本代表MF中島洋太朗(2年)の仕掛けを止め、決定機に繋がるグラウンダーの縦パス。さらに、特長のフィード力を発揮し、左へ、右へとロングパスを通していた。

 だが、「前半、後ろの人の声が少なくて、前でハメることができていなかったので。自分たちの声がないのでチームもキツくなってしまった」と反省。味方を押し出したり、間を締めさせたりする声を欠いたことが苦戦に繋がり、前半を0-2で終えてしまう。

 それでも、後半は鈴木自身の声がけの回数も増え、チームは終盤へ向けて活性化。「キックの部分に関しては誰にも負けたくないですし、ヘディングも自分は背が高いのでそこは負けたくない」という鈴木は、前に出てボールを奪い切ったほか、空中戦の強さを発揮する。そして、積極的なビルドアップ。後半26分の追撃ゴールは鈴木の縦パスが起点だった。

 その後、チームは3得点を奪って逆転勝ち。鈴木も後半は無失点で守り切った。森山佳郎監督の目には「落ち着きすぎて大丈夫かな」と映ったようだが、堂々としたプレーでデビュー戦勝利。鈴木は、「この大会、優勝したいというのがあったので、後半無失点で前線の選手が決めてくれたので良かった」と喜んでいた。

 鈴木が所属する鵬学園は、石川県北部、能登半島の七尾市に位置する私立高校。16年度の選手権石川県予選で星稜高の連覇を17で止めて全国大会初出場を果たし、19年度には2度目の選手権出場を果たしている。今年はプリンスリーグ北信越1部へ昇格し、現在4位。とは言え、まだまだ知名度は全国区ではないかもしれない。

 それでも、鈴木自身、チームの努力と、代表スタッフの精力的な視察活動によって、「なかなかノーマーク君だと思う」(森山監督)才能は発掘された。鈴木は鵬学園で1年時から先発。当時から、高さや正確なフィードで存在感を放っていた。入学後、全国大会のピッチに立つことができていないものの、06年早生まれで、話題になっていたDFは今回、飛躍のチャンスを獲得。今年4月にOBのMF永田貫太(現中京大、藤枝内定)がU-22日本代表候補合宿メンバーに初選出されているが、在校生では候補を含めて鈴木が初の年代別日本代表メンバー入りだ。

「ずっと目標にしていたところなので、素直に嬉しい。(代表の選手は)みんな優しいです」。意欲を持ってU-17日本代表の活動に参加。普段、鵬学園では自分が声で要求することが多いが、代表チームでは周囲から要求されることの連続で違いを実感。また、周囲が声を掛け、助けてくれるため、チームに上手く入れたと感じている。

 Balcom BMW CUPを戦うU-17日本代表メンバーは、11月に開催されるU-17ワールドカップの候補選手たちだ。今大会はU17アジアカップ優勝メンバーの大半が不在だが、世界大会は彼らが中心となることが有力。初招集の鈴木は、残り数枠を懸けて争っている。

「(11月に)ワールドカップもある中で、自分は早生まれとして入りたい。ワールドカップ前の少ない試合の中で、アピールする場をもらえた。ここでチャンスを掴めるか、掴めないかは自分次第だと思うので、しっかりと自分の力を出せるように頑張りたい」と力を込めた。残り2試合、地方の高体連から台頭してきたCBが世界レベルで戦えることを示し、チャンスを掴む。 

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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