[10.30 選手権石川県予選準決勝 金沢市立工高 0-1 鵬学園高 金沢市民]

　昨年、当時1年生だったCB八十島陸翔(現2年)が飛躍した鵬学園高だが、今年も新たな実力派の1年生CBが出現している。DF鈴木樟(1年=知多SC出身)は181cmの高さや正確なキックが特長。この日はコンビを組む八十島の背後のスペースを的確に埋めてインターセプトし、高精度のフィードをサイドへつけていた。

　予測、準備を速くすることを意識しているという鈴木は、カウンター狙いの相手にチャンスらしいチャンスを作らせることなく無失点。「裏のチャレンジ&カバーは試合前から(八十島と)意識してやろうと話していたので、それが出せて良かったです。キックも得意なプレーなので、出せて良かったです」と微笑む。

　ただし、準々決勝の金沢高戦でカウンターから2失点したことが頭をよぎったか、本来の力を出し切るまでは至らず。「能力は高いと思います。(特に攻撃面では)もっとできますよ。アイツが一番ボールを動かせます」と期待する赤地信彦監督は、決勝へ向けて心構えの部分から変化を求める考えのようだ。

　鈴木は愛知県の知多SCから全国出場への強い思いと、先輩が進んでいたこともあって鵬学園へ進学。同じポジションの注目株である八十島らから学びながら成長してきた。「(八十島は)ジャンプのタイミングとか良いタイミングで跳んでいるので、それは真似しています」。将来はプロになりたいという気持ちも持っているが、注目CB八十島の隣で自分の名を上げたいという気持ちはまだ、ない。

「注目されたいとか考えていないです。チームが勝てれば良い。1年生で出れて3年生で入れていない人もいるので、その人たちの分も責任感じて無失点で抑えて全国に行きたい」。自分の活躍よりも、先輩たちの勝利に貢献すること。それだけを考えて1年生CBは名門・星稜高との決勝に挑む。

(取材・文　吉田太郎)

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