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U-22日本代表 10月アメリカ遠征メンバー発表 大岩剛監督オンライン会見要旨

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大岩剛監督

 日本サッカー協会(JFA)は5日、オンライン会見を行った。10月にアメリカ遠征に臨むU-22日本代表メンバー23人を発表。大岩剛監督が質疑に答えた。

 U-22日本代表は日本時間15日午前7時にU-22メキシコ代表と、18日午前11時半にU-22アメリカ代表と対戦する。

大岩剛監督
「今回のアメリカ遠征で、メキシコとアメリカという強豪国と試合ができる。しっかりと一つひとつの試合に対して勝利を目指しながら、チームとしてのスケールを大きくしていきたい。IW期間(インターナショナルマッチウィーク)なので、しっかりとした準備をして成果を上げたい」

──今回の遠征のテーマはあるか。アメリカとメキシコとの試合で選手にどういうことを求めていきたいか。
「これはスケジューリングの話になるが、来年(4月)の最終予選から逆算して、われわれの活動回数とバーレーンの一次予選の戦いを踏まえて、もうひとつレベルアップをする。チームとしても個人としてもレベルアップしていくことが必要。いままでの活動プラス戦術的にもグループ的にもレベルアップすることが必要になる」

──チームとしてのレベルアップは具体的に言うと何か。
「いろんなヨーロッパの国と試合を行い、一次予選もやった。今回はメキシコ、アメリカとスタイルが違う相手と試合ができる。アジアも含めて、いろんな相手といろんな状況でやる中で、もっとわれわれの攻守の原則やスタイル、質を上げていく必要がある。どういう相手であってもスタイルを貫く。われわれのサッカーをピッチ上で示す。そういう姿勢をピッチ上で洗練していきたい」

──メキシコとアメリカの印象は。
「両国とも、チームが立ち上がって間もない。アメリカは(パリ五輪)出場の切符を取っているが、メキシコはまったく違うチームで立ち上がったばかり。監督も新しくなったので印象としては掴みづらい。メキシコという国を想像すれば、おそらくこうではないかという風に想像できる。そういう部分でしっかり準備をしながら、対戦までには準備をして試合に向かっていきたい」

──きのうA代表に鈴木彩艶が選ばれた。森保一監督も大岩監督とコミュニケーションを取っていると話していた。どういう話をしてどういう気持ちで送り出したか。
「送り出してはいないです(笑)。彩艶はそのまま呼ばれていくだけです(笑)。彩艶だけではなく、ほかの選手がわれわれのグループから行くことはまったくもって歓迎している。個人個人のレベルアップ、われわれが掲げている“A代表経由パリ五輪行き”というのを身を持って表してほしい。大事な試合になったとき、こちらに良い影響を与えられるようになってほしい」

──チェイス・アンリ福井太智がU-20世代から選ばれた。
「彼らのパフォーマンスのリサーチはしています。福井太智も自分がU-18を担当したときに間近で見ている。彼がどれくらい成長しているかを踏まえた上で今回期待して招集した」

──海外組の斉藤光毅小久保玲央ブライアン小田裕太郎がいない。競争の末か、コンディション面か。
「Jリーグのクラブもそうですし、海外組もしっかりとコミュニケーションを取っている。今回はコンディションやチーム事情などいろんな理由があって招集できるできないということがあった。今回だけではなく、毎回IWでもしっかりと所属クラブと連絡を取って招集するしないの判断をしている。今回もできるできないを含めてコミュニケーションを取っているので、そういう意味では毎回同じような形でIWを使いたいと思っている」

──アジア大会を経て、改めてアジアの難しさとは。
「対戦相手も含めて、その環境であったり、大会であったり、公式戦であったり、いろんな形がある。お互いのチームの目的であったり、そういうものがいろんな要素として絡んでくるので一概には言えないが、日本という国をすごくリスペクトして臨んでくる国がますます増えてきた。なりふり構わずという言葉が正しいかわからないが、試合の要素も含めて、90分という時間をどう使うのかとか、レフリングとか、環境も含めてだが、いろんな要素をリスペクトの中で使ってくる。技術的なサッカー要素、戦術的なサッカー要素だけではなく、1試合における試合の目的というか、いろんなものを使って我々をリスペクトしてくるので、その難しさは今後も出てくるかなと感じている」

──先日の北朝鮮戦についてJFAから申し立てをする。監督は試合をどのように見たか。
「監督の立場ではピッチ外から選手を守ることしかできない。何かしらのやり方で守ろうとしたが、それができずに90分間経った。選手が怪我なく終われたことが一番。それ以外のところでは試合内容も含めて非常に厳しかった。われわれにとっては勝ち上がるための1試合だったと認識している。その後のことはサッカー協会にお任せするしかない。レフェリングも含めて、われわれがコントロールできないところに意識を向けるよりも、しっかりと90分の中で試合に勝ちあがると。そういうことに関して、選手とともにしっかり戦えた」

──メキシコは体格も似ていてサッカー環境も似ている。メキシコとの対戦はひとつの目標にもなるが、どういうものを吸収したいか。
「東京オリンピックで対戦した国でもある。同じようなサッカーを志向する国でもある。ただ、われわれも成長の過程で、メキシコも今回のオリンピックに出場できないという状況の中でいろんなアプローチをしてくる。われわれもひとつの試合の中でやりたいことをピッチの中で表すと。そういうことを第一優先にしてメキシコと戦いたい」

──U-22日本代表というチームは、いまの段階でどれくらい構築できているか。
「100に近づけられるようにやっているが、毎回同じ選手を呼べるわけではない。チームとしてのスタイルを理解して、自分の特徴をしっかりと出しながら、チームとしてどの対戦相手であってもしっかりと全員が共有できるようなことを毎回の活動でやっている。今回、新しく何人かの選手が来るが、そういう選手と普段から呼ばれている選手をしっかりと融合させる。それプラス、スピードや技術的な要素をもっとレベルアップしていく必要がある」

──パリ五輪に向けて、まだまだ積み上げるものは必要か。
「これはゴールがないことだと思っている。当然うまくいかないこともある。勝率を上げるというか、そういうものを確実にしていくためのトレーニング、ゲームトレーニングをしたい」

──今回の遠征はオリンピックへのメンバーを固める上でどんな位置づけか。
「最終予選までに活動が限られている。それまでに個人個人を見て評価するということ。チームの中での役割をどのレベルでできるかの評価。そういうものを含めて、しっかりと融合させながら共有をする活動にしたい」

──IWではあるが、平河悠藤尾翔太が所属する町田は試合がある。クラブと話し合ったとは思われるが、2選手の招集にこだわった理由はあるか。
「どの選手もこだわっています(笑)。試合が入っていることは重々承知している。われわれのチームの中で、彼らの重要性というのはほかの選手と同じようにあるので、クラブとしっかりコミュニケーションを取った中で協力をいただけると今のところは連絡をいただいている。町田さんには本当に感謝をしている。ほかの選手の所属クラブもわれわれの活動に協力してくださる。本当に感謝の気持ちを持って、この活動を行いたい」

──(来年4月の)最終予選から逆算して、活動日数が限られている。ベストな選択をしていくためにも呼んだ部分はあるか。
「コロナでイレギュラーにアジア競技大会に参加しているが、いろんな制限で選手が限られた中で活動している。そういう部分も含めて、本当に協力があっての活動。選手を健康に帰すというところまで、しっかりわれわれが認識した上で活動していきたい」

──最終予選に目が行きがちだが、今回はその3か月後に五輪がある。予選と本大会の準備をしなければいけないという難しい舵取りになる。それも含めて北中米遠征の位置づけとは。
「インターバルの短さは、最終予選の日程が決まった時点でマッチメイクも含めて認識をしている。短いことは、本当にひとつの活動に対しての重要度が増していく。選手選考も含めて、慎重に各クラブの関係者の皆さんとコミュニケーションを密にしていきたい」

──人選を絞るのではなく、広げることも大事になる。新井悠太の招集はいろんな選手に勇気を与える。
「今回のアジア競技大会に来ている選手たちも、来たときとまったく違う表情をしている。彼らは今回の日程上選出しない決断をしたが、名前を出してくれた選手以外の選手も、われわれにとってしっかりとしたターゲットなんだということは伝えていきたい」

──CB陣の出場機会が得られていない中、代表活動だけでは難しいが、予選も含めてクラブでの試合に出られる状況に持っていけるか。
「これは難しい。自分の口から言いづらい質問。ただ、彼らが苦しんでいることは活動ごとに話をしていて、私も認識している。CB以外のポジションもそうだが、この年代特有の悩み。ただ、CBという重要なポジションの選手が、試合に出ていないという影響は少なからずある。彼らを信頼して今回も招集しているし、ひさしぶりのアンリも映像(の確認)だがしっかりとプレーをしている。そういう部分はしっかり評価をしなければいけない。今後活動が続いていく中で、新しい選手も、今回アジア競技大会に来ている選手も含めて選出しながら、チーム力を上げていく必要がまだまだある。今後も重点的に見極めながら活動したい」

──代表経験もあるCBとしてCBに求められる資質を伝えることはどうか。
「この年代の選手たちに、存在感や安定感、安心感というものをどう求めていくかというのは非常に難しいところ。CBに限れば、経験が重要視されるポジション。存在感は裏付けがあってみんなに伝わるもの。そういう部分で彼らが本来の安心感を与えられるようなプレーはできていないかもしれない。ただ、これは試合を重ねてチームとしてプレーを重ねることで、しっかりと周りに波及していくべきものだと思っている。活動のときに言うことだが、試合以外のところで何をしているか、何ができているか、というところも見極めながら、チームの中でどういう存在か見極めながら、選手を招集していきたい」

──最終予選がIWではないことが大きな心配事。どれくらい招集ができそうな感覚か。
「本当にお願いベースでしかないので、各クラブの強化の方と、日本サッカー協会ダイレクターの山本(昌邦)さんとの交渉にもなっていくが、最終予選以前の活動で招集できるできないにかかわってくる。海外国内、いろんなチーム状況もかかわってくる。その時期になってみないとわからないのが正直なところ。日本国内におけるオリンピックが非常に熱の高い大会だと思っているので、協力を仰いでいくスタンスでいたい」

──海外と国内のクラブで交渉しやすさに違いはあるのか。
「しやすいしにくいより、シーズンがまったく違うので、負担という部分では差があると感じている」

──現段階で、アジア大会のメンバーで引き上げられそうという感触はどれくらい感じているか。
「全員がそれに値する。これは大げさではなくて、大会を通じて非常にいいグループになっていると思っている。所属カテゴリーに関係なく、いいグループになってきている。(常連組と)遜色ないと思っている」

──三笘薫ら台頭のときと状況が似ていて、アジア大会に出ている選手たちのモチベーションが上がっている。何か声掛けはしているか。
「直接名前を出して話をするというのはない。だが、報道を見て彼らも認識はしていると思う。特に大学生、そういう選手たちはいろんな意味で意識をしている。われわれも認識した上でアプローチをしている。強化指定でJの舞台を経験している選手もいるので、そのあたりは大学生といえども基準を上げながら、彼らにプレーの質を求めている。勝手という言い方は変だが、しっかり基準を上げてくれていると思う」

(取材・文 石川祐介)
●第19回アジア大会特集ページ
石川祐介
Text by 石川祐介

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