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上田綺世が目指す理想のストライカー像「一人の選手が一つの戦術になる。FWにはそれだけの価値がある」

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日本代表FW上田綺世

 目指すべきストライカー像は明確にある。日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)は、出場機会のなかった13日のカナダ戦(○4-1)から一夜明けて報道陣の取材に応じ、「早い時間に先制点を取れたのが大きかったと思う」と振り返り、中3日で迎える17日のチュニジア戦(ノエスタ)に向け、「出場時間がどれぐらいかは分からないけど、最善の準備をするだけ」と静かに意気込んだ。

 カナダ戦では1トップで先発したFW浅野拓磨が持ち味である裏への抜け出しだけでなく、ポストプレーでも体を張ったプレーを見せた。「(浅野)拓磨くんは足が速いし、それをどう生かすかをよく理解している。足の使い方、受け方が秀でていると思う」としたうえで、「それぞれに自分の特徴があって、それを生かさないといけない」と強調。自身が考えるFW像についても話が及んだ。

「クラブと代表で戦術が違っても、FWとして求められることはどのチームでも同じ部分がある。FWは戦術にハマらないというか、枠におさまらないところもあるし、そこがFWの個性だと思う」

 今季、ベルギーのセルクル・ブルージュからオランダの名門・フェイエノールトに移籍し、UEFAチャンピオンズリーグも経験。チームでポジションを争うメキシコ代表FWサンティアゴ・ヒメネスは開幕8試合で12ゴールを量産し、欧州CLのアトレティコ・マドリー戦ではスペイン代表FWアルバロ・モラタに2ゴールを許すなど、世界トップレベルのストライカーを間近で見てきた。

 そうした戦いの中で「一人の選手が一つの戦術になる。FWにはそれだけの価値があるし、戦術に沿ってプレーすることも大事だけど、一人の選手として相手の脅威になることが一番の価値だと思う。そこまで行くのがベスト」との思いも強めた。「怖い選手が一人いるだけで、相手はそこに対応する。その時点で戦術になるし、相手にとって脅威になる。自分もそういう存在に世界でなっていかないといけない」。たとえその道は険しくとも、上田の視線の先にはしっかりとその頂上が見えている。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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