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無失点にも硬い表情のGK鈴木彩艶「思ったより右に速いボールが来た」

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日本代表GK鈴木彩艶

[10.17 キリンチャレンジ杯 日本2-0チュニジア ノエスタ]

 守備機会は数えるほどで、被シュートはわずか1本。そして、2-0のシャットアウト勝利。しかし、結果とは裏腹に、試合直後の日本代表GK鈴木彩艶(シントトロイデン)の表情には複雑な感情が浮かんでいた。

「結果の部分でゼロに抑えて勝てたのは良かったし、ボールに触らないのは良いことなのでそこは守備陣に感謝したい。でも、正直、自分としては悔しさが残る展開になってしまった。最後にバタついてしまった」

 硬い表情で試合を振り返ることになった理由は、後半アディショナルタイムのシーンだ。

 左サイドに流れたDF冨安健洋が蹴ったバックパスがハイスピードで、しかもコースがズレていた。飛び出して対応しようとした彩艶だが、あろうことかボールに触れず、ボールはそのままゴール前へ。ゴールマウスがガラ空きになる危険な状況はDF谷口彰悟がカバーに入ってことで事なきを得たが、スタジアム全体が凍り付いた場面だった。

 問題のシーンについて彩艶は「左に要求していたが、思ったより右に速いボールが来た。相手に先に触られないように前に出て対応したが、ボールスピードにうまく合わせられず、ボールに触れなかった」と説明。「でも、あそこで下がっていたら相手に取られていた思うので、自分としてはポジティブなミスだと捉えている」と強気を見せたが、口調は高らかではなかった。

 その直後にはMFハムザ・ラフィアの左サイドからのクロスをFWハイセム・ジュイニに頭で合わせられたが、ヘディングシュートは左ポストを直撃。「最後のところでバタついたのは修正しないといけないし、クロスに対してもあの場面は(前へ)出られたのではないかと思うので、そこは修正したい」と反省が口をついた。

 もっとも、相手のシュートはその1本だけで、不安定なプレーをしてしまったのは後半アディショナルタイムのみ。後半10分の相手FKの場面では、ゴール前に送られたボールを両手でパンチングし、十分な飛距離で危険を回避した。

 表彰式の間は下田崇GKコーチと「最後のキックをしに行こうとして触れなかったシーンだったり、ボールの予測だったりそういうところを話した」という。「ヘコんではいないが、悔しさはある。早く映像を見て修正したい。キーパーは安定感。守備陣に対して、このキーパーがいるから守備が強いと思わせることが大事だと思う」とさらなる成長を誓った。

(取材・文 矢内由美子)

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矢内由美子
Text by 矢内由美子

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