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9月10月で3遠征を敢行したU-22日本代表、大岩監督が「チャンスを与えたいと思わせた」と名指しした選手は?

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9月10月を振り返る大岩剛監督

 パリオリンピックを目指すU-22日本代表の大岩剛監督が31日、千葉市内で取材に応え、9月と10月に行われた遠征を振り返った。

 パリ五輪世代のU-22日本代表は9月と10月で3つの遠征を敢行した。9月上旬は常連組を中心としたメンバー編成で、バーレーンでのU23アジアカップ予選に参戦。酷暑の中で2勝1分の成績を収め、来年4月にカタールで行われるパリ五輪アジア最終予選も兼ねたU23アジア杯への出場を決めた。また、同月20日からは全メンバーを入れ替え、中国開催のアジア競技大会に参加。2大会連続で決勝進出を果たしたが、U-24世代にオーバーエイジ枠を加えた韓国に敗れ、またしても準優勝に終わった。

 そして、アジア大会から帰国したスタッフ陣は、同日内にはアメリカ遠征へ。常連組を中心としたメンバー編成にU-20世代を加えて2連戦を行った。メキシコとの初戦は4-1で勝利も、第2戦目のアメリカには1-4と大敗。2022年3月に発足して以来で最多となる4失点を食らい、大きな課題を得て遠征を終えた。

 大岩監督はアジア大会のメンバーたちを「ひいき目なしにすごく成長した」と目を細める。22人の中にはMF松岡大起(グレミオ)やDF馬場晴也(札幌)、MF松村優太(鹿島)、MF佐藤恵允(ブレーメン)、MF西川潤(鳥栖)といった招集経験のある選手もいたが、ほとんどが初の国際大会となったJリーガーや大学生ばかり。指揮官も「直前キャンプや練習もせずに大会に入ったので、最初はどうなることやらと」と不安は隠せなかったという。

「選手たちの顔を見たら、特に大学生は緊張でガチガチ」(大岩監督)。それでも初戦のカタール戦を3-1で勝利すると、決勝までの5試合で勝利を重ねていく。惜しくも決勝では敗れ、3大会ぶりの優勝とはならなかったが、大岩監督は「代表としての責任が彼らに芽生えていった」と手応えを感じていた。

 アジア大会メンバーからはFW内野航太郎(筑波大)が追加招集でアメリカ遠征メンバー入りし、メキシコ戦ではゴールも記録した。大岩監督は名指しで内野に言及。「結果も出して、彼のパーソナリティも選手に認められていた。前線であれだけ仕事量が多いところで、選手同士の信頼感を得ることはものすごく重要。大学1年生だが、そういうものを持っていると評価をしている」。その遠征で怪我をしたものの、11月のU-22アルゼンチン代表との親善試合にも招集される可能性も示唆。「コンディション次第ではチャンスを与えたいと思わせる選手の一人」と期待を寄せた。

 アメリカ遠征では、パリ五輪行きをすでに決めたアメリカに1-4で大敗を喫した。試合後のミーティングでは大岩監督から「結果を出すために必要なことが明確になったよね」と選手たちに伝えたという。90分で綺麗なサッカーを展開しつつも、隙を突かれる場面が目立った。メンバーは常連組といえど、所属クラブでは出場時間が限られた選手も少なくない。「90分の試合をどう自分自身が作っていくのかという経験が足りない選手たちなので、重要だよねと言われている時間帯の経験がなかなか得られていない。それを改めて気づかされた試合だった」と大敗からの収穫を挙げた。

 昨秋からはヨーロッパ勢と8連戦を行い、9月にはアジア勢と、そして10月は北中米との遠征を終えた。善戦したヨーロッパ勢と、苦戦した北中米勢との様子が比較されがちだが、大岩監督は「そこが問題ではない」と語気を強める。「相手がどこであろうと、やるべきことをしっかりどこの場面で、どの時間帯で、どういう局面でやらなきゃいけないかということを、しっかり個人個人で見つめ直すことがまず大前提。その先に、対戦相手によって戦術を変えられるとか、システムを変えられるとかが出てくる。ベースがふわふわしていたら、オプションもまったく機能しないという状態になる」とチームのベースとなる“スタンダード”を上げる重要さを語った。

 チームは来月18日、IAIスタジアム日本平で今年最後の活動がある。U-22日本代表初となる国内での親善試合でU-22アルゼンチン代表と対戦。大岩監督は「腰の引けた試合ではなくてガチンコでやって、(観客が)湧くようなシーンをたくさん作りながら、結果的に勝つという試合が理想」と意気込む。「われわれのスタイル、やるべきことをやって挑みたい」と試合への展望を語った。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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