[11.20 U-17W杯決勝T1回戦　U-17日本 1-2 U-17スペイン]

　涙を噛み殺しながら漏らす言葉に、U-17日本代表DF本多康太郎(湘南U-18)のこのチームへの強い思いがこもっていた。

「全員が自信を持って良いムードで試合に臨めていたと思います。前半は失点から始まっちゃったんですけど、そのあとは全員でやりたいことをできていました」

　早々に1失点を喫する厳しい流れだったが、守備陣はそこで崩れることなく粘り強く対応。本多自身も際どいクリアを見せるなど、体を張った守りで強力な攻撃陣を誇るスペインに対抗し続けた。

　ただ後半、一瞬の隙を見逃さなかったバルセロナFWマルク・ギウにディフェンスライン裏へと抜け出され、決勝点を奪われてしまった。

「相手を待つ時間が増える中で、あの失点が……。ああいう簡単な一発で終わってしまったというのは、本当に悔しいです」

　事前の分析でギウのプレーについても対策は練られており、「あの失点パターンは分析でも『注意しておけ』と言われていて、自分たちの頭の中にもあった」だけに、余計に後悔の残るもの。その口からは、思わず「すいません」という謝罪の言葉も漏れた。

　だが、この大会で本多が何も見せられなかったのかと言えば、そうではないだろう。それは「ワールドカップは終わってしまったんですけど、でも何もできずに終わったかというと、やれたところもあったと思います」と語るとおり。身体的な特長を含めて世界レベルのFW陣を相手に体を張って対抗し続けた

　その上で「最後のああいう場面での集中力、対応の質というのをもっと高めていかないと、ベスト8や4、そして優勝は遠いなと思った」という言葉のとおり、より研ぎ澄まされたDFになれるかどうか。それが今後の成長に繋がるのであれば、「悔いが残る」と涙をこぼした失点も、未来への財産になっていく。

(取材・文　川端暁彦)

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