beacon

指揮官の「指名」に応えたFW名和田我空(神村学園高)、自らの特長を体現する会心のゴールで爪痕を残す

このエントリーをはてなブックマークに追加

U-17日本代表FW名和田我空(神村学園高)

[11.20 U-17W杯決勝T1回戦 U-17日本 1-2 U-17スペイン]

「次、お前で行くからな。気持ちの準備をしておけ」

 FW名和田我空(神村学園高)が、U-17日本代表・森山佳郎監督から「指名」を受けたのはU-17ワールドカップ・ラウンド16前日のことだった。

 名和田の存在は、指揮官がスペイン攻略策を練る中で浮かび上がってきた。「マイナスの折り返しに対してスペースが空く」という分析を踏まえ、「そこから一振りでゴールを狙えるクオリティがある」名和田の特長に賭けるかどうかだった。

 起用を見送られてきた理由について名和田本人が自覚している。ポーランド、アルゼンチン、セネガルと続いた試合で日本の日常とはかけ離れた強度での攻防を目の当たりにし、「強度の部分は今の自分の課題」と自覚もした。その上で、スペインとの決戦に先発で送り出した指揮官の言葉に応えるべく、「チームの誰より走って勝利に貢献する」という思いでピッチに立った。

 先制点を早々に献上する苦しい試合となる中で迎えた40分、そんな名和田の姿勢と持っている個性が結実する。MF佐藤龍之介(FC東京)のパスに反応して小さなスペースでボールを受けると、右足強振。鮮やかにゴールネットを揺らした。

「相手が飛び込んできたというのもあって、はがしてゴールへのイメージができたので、振り抜きました」

 自らの特長を体現する会心のシュートがスペインゴールへと突き刺さり、試合は振り出しに戻った。

 ただ、日本の勢いは後半まで続かなかった。試合は1-2の敗北。名和田はベンチに下がって「本当にもう終わりなのか」という気持ちで敗戦を迎えることとなった。

 ただ、「自分はまだまだこれから。高校に戻って課題としっかり向き合っていきたい」と、あらためて意気込む。

「前を向いて、本当にこの経験を無駄にしないように。スペインと次やったら倒せるように頑張りたい」

 ワールドカップで得た基準を神村学園へと持ち帰り、再び世界へ挑戦して、今度は勝つために。さらに自分を磨き抜く覚悟だ。

(取材・文 川端暁彦)
●U-17ワールドカップ2023特集
川端暁彦
Text by 川端暁彦

TOP