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20歳でのアジア杯初出場に堂安律「いま会えば引っぱたきたい(笑)」新たな10番の決意表明

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MF堂安律(フライブルク)

 1年前のカタールW杯で日本に歓喜をもたらした男が、日本の10番として思い出の地でのアジアカップに臨む。日本代表MF堂安律(フライブルク)は12日の練習後、報道陣の取材に対応し、「10番つけてからの一番の大きな大会なので、みんなを黙らせるのに一番いい機会でもある。結果にフォーカスしながらやりたい」と意気込みを語った。

 カタールW杯でドイツ、スペイン相手に決勝ゴールを決めた堂安は第2次森保ジャパン発足後、2度目の活動となった昨年6月に背番号10を初めて着用。堂安が不在となった同10月の活動は空き番号となっており、他の選手に譲らないままアジア杯本大会に臨む形となった。

 U-24日本代表で出場した東京五輪でも10番を背負ってきた堂安にとって、A代表の10番は格別な栄誉。「多少、気持ちは違う。過去を振り返っても、優勝した時には日本代表の10番の選手がやっぱり活躍していると思っているので、チームが優勝してそれに一番貢献してる選手でありたいと思う」と責任感を口にした。

 2019年にUAEで行われた前回のアジア杯では20歳ながら右サイドハーフの主力を担い、初戦のトルクメニスタン戦(○3-2)、準々決勝ベトナム戦(○1-0)でゴールを記録。決勝戦では敗れたものの、自身のキャリアの大きな足掛かりをつくった。それでも堂安にとって満足のいく大会ではなかったという。

「ふがいない大会でしたね。全くいいものを残せなかったと思ってます。調子に乗ってた20歳だったので、いまそういうのに会えば引っぱたきたいですけど(笑)」

 そう苦笑いを浮かべた堂安は、奇しくも今大会の初戦でも対戦するベトナム相手にも「(5年前の得点は)いい思い出といってもPKなので、それほど調子良かった記憶があったわけでもない」ときっぱり。過去を振り返るのではなく、まっさらな新たな気持ちで大会に臨んでいく決意を熱く口にした。

「もう5年も経ったかという感じですし、アジア杯を経験した選手も少なくなっていて、メンバーってこんなに変わるんだなって思いもある。ただ、いろんな選手と話すけど、過去を経験した選手が還元するとかそういうのはもう古い考えだと思っているので」

「新しい選手がどんどん新しいことにチャレンジしないと結局何も変わらない。W杯も過去の大会を振り返って、ベスト16を超えたいとかそういう時代じゃないのかなっていうのもある。常に新しい選手が新しい目標に向かっていくことが、今までの歴史を変えるキーかなと思っている。過去のこと過去のことよりも、次は先のことに向けてやりたいと思います」

 そうした発想に至った背景には、いまの日本代表選手が新たなステージに突入しているという自負がある。

「そもそも今やろうとしているサッカーもそうですし、やっぱ現代サッカーに向けてやっている中で、過去のことを掘り返しても何も変わらない。みんな最先端のクラブで、最先端のやり方で、いろんなことを取り入れて、個人個人が成長してきたと思うので、それが一つになればチーム成長すると思う。みんな一人一人がそういう考えになっていると思う」

 もちろん前回大会で準優勝に終わったという悔しさは忘れていない。それでも、悔しさを晴らすことをモチベーションにするのではなく、新たな日本代表を示すための大会にしていくつもりだ。

「毎回、日本が優勝候補と言われていると思うし、その中で2大会優勝できていないというのは、やっぱり情けない結果だと正直思いますし、頭の中では日本がそろそろ圧倒的ナンバーワン、アジアナンバーワンにならなくちゃいけないと思っている。頭の片隅にはそんな甘い大会にはならないというのもやっぱりわかっているし、理想と現実は違うのはわかっているけど、もちろん俺たちは理想を求めて大会に臨んでいくので」

 そうしたチームの理想に加え、新たな10番像を示す大会となれば理想的だ。

「(5年前も)やってやるぞという気持ちは多分みんなに伝わったと思うけど、本当にこいつやれんのかなという思いは多分メディアの皆さんにもあったと思う。今は少なからず自分も経験を得て、結果も出して、本当にこいつやってくれんじゃないかって思いに少しずつ変えられてきていると思う。それを確信させる大会にしていきたいなと。そういう自分を見せたいと思います」。20歳で国際大会デビューを果たした5年前、世界を相手に2ゴールを奪った1年前の経験を胸に、日本の10番が新たな姿を見せつける。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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