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森保Jのハイライン戦術好むDF渡辺剛、声でも活気「技術でのし上がった選手じゃないので」

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日本代表DF渡辺剛(ゲント)

 ようやく帰ってきたA代表の舞台で、日々充実したトレーニングを積んでいる。日本代表DF渡辺剛(ゲント)はアジアカップ初戦・ベトナム戦を翌日に控えた13日、報道陣の取材に対応し、「選手たちのレベルも高いし、良い環境でこれだけサッカーに打ち込めることはなかなかない。すごく楽しめている」と現在の心境を語った。

 渡辺は国内組のみで臨んだ2019年末のEAFF E-1選手権でA代表初選出デビューを果たしたが、その後は約4年間にわたって招集なし。それでもベルギーで実績を積み重ねて迎えた昨年11月、初めてフルメンバーのA代表に食い込むと、北中米W杯2次予選の出場を経て、今回のアジア杯メンバーにも滑り込んだ。

 チームは5日午前からカタール・ドーハに入り、これまで1週間が経過。非公開の戦術トレーニングでのパフォーマンスはベールに包まれているが、それ以外のメニューでは積極的に声を出し、周囲を盛り立てる働きが目立っている。

「もともとそんなに技術でのし上がってきた選手じゃないので、そういうところで盛り上げたりするピッチ外のところもそうだし、ピッチの中でもプレーだけじゃなく声で鼓舞したりというのは小さい頃から好きだった。それが今に活きているかなと思う」。その積極性はプレー面にも活かされているという。

 日本代表ではカタールW杯以降、布陣をコンパクトにしたハイライン戦術に舵を切っており、DF冨安健洋が復帰した昨年9月の欧州遠征からはさらにその流れが加速。渡辺自身は「自分の好きな守備のスタイル」と前向きに受け止め、「ハイラインでハイプレスしながら裏のケアをするにあたって、自分は足も遅くないし、そこはチームに求められているところでもあったので、すごく自分の形に合っていると思う」と手応えをのぞかせつつ、スタッフともやりとりしながら順応を進めている。

「リスクを冒して(チャレンジに)行くところとそのリスクを冒さずに行かないところではクラブとの違いがあったけど、昨日は森保さん(森保一監督)ともそうだし、齊藤(俊秀)コーチとも話しながらどうやって行こうかというところを自分として確認できている。新しいやり方を身につけられているかなと思う」。クラブと異なる“代表仕様”の守り方への順応は、代表定着に向けて乗り越えるべき壁。渡辺はそこにも前向きに取り組めているようだ。

 また試合ではそうしたチームコンセプトへの順応だけでなく、自身の個性も発揮していきたいところ。「組織的に守ったりすることと、自分は海外でやっているので、そこで培った1対1の部分など自分のストロングポイントをどんどん出していければ勝ちに繋がったり、自分のアピールにもつながると思う」と意気込む。

 さらに大会を通じてメンバーを入れ替えながら戦っていくことが予想される中、チームを支える働きも忘れるつもりはない。

「試合に出るか出ないかにかかわらず、このチームで戦うと決めた以上、自分のできることを最大限やるのが選手として大切なこと。日本代表というのは出られない経験もあってこそ。自分でチャンスを掴んで、地位を積み上げていくのが日本代表だと思う。自分の置かれているポジションでできることを最大限していきたい」。代表への生き残りをかけ、充実した日々を大事に過ごしていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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