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大奮闘のベトナムに久保建英「アジアで1、2を争うポゼッション力」「どんな練習か見てみたい」

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MF久保建英(ソシエダ)

[1.14 アジア杯グループD第1節 日本 4-2 ベトナム アルトゥママ]

 後半39分の途中出場からわずか1分後にダメ押しゴールをアシストし、負傷からの復帰初戦にして結果を出した日本代表MF久保建英(ソシエダ)。試合後は「コンディションがあまり落ちていないのも確認できたので、いい試合になった」と手応えを述べつつも、それ以上に日本を苦しめたベトナム代表のポゼッション戦術への賛辞が止まらなかった。

 久保は真横をベトナム代表のフィリップ・トルシエ監督が通りかかる中、ミックスゾーンで報道陣の取材に対応。「正直、今日の試合はいま横にいますけど、トルシエ監督に僕たちがやろうとしていることをやられちゃったというか、相手の嫌がることをやって自分たちのペースで運ぶことを前半ずっとやられていましたね」と振り返り、「ハーフタイムで修正できてよかったけど、前半のうちにああいうところを修正しないといけない」と課題を口にした。

 前半の日本は代わる代わる低い位置に降りてきてビルドアップに関わる相手選手に対し、プレッシングがハマらず、ボールを握られる時間帯が続いていた。その光景をベンチで見つめた久保は「どこがどう(課題だった)とはここでは言わないけど、(相手選手が)余っていた部分もあったし、彼らのこの試合にかける意気込みも見せられつつ、気持ちだけじゃなくて戦術もいいものがあった。僕はベンチで見ていて圧倒された感じはありましたね」と驚きまじりに振り返った。

 その上で「それこそソシエダと似たようなものがあるとかじゃないけど、本当にポゼッションがしっかりしていた。練習しているのかわからないけど、中に入ってくる時のワンタッチ目の置きどころが上手いから余裕を持って日本のプレッシャーにも耐えられるし、そこで失わないと思っているからああいうプレーをできる」と分析。「見てみたいですね、どんな練習をしているのか。それくらい完成度が高い。万全の僕たちだったらどっちがポゼッションできるか分からないけど、アジアで1、2を争うポゼッション力があったのかなと思います」と目を輝かせていた。

 久保は試合前の取材でも「ベトナムは機動力もあって繋げて、日本が前にやろうとしていた感覚に似ているところがある」と分析し、ベトナムのポゼッションには警戒を示していた。それでもこの日のベトナムは想定以上のクオリティーを示してきていたようだ。

「もともとつなぐチームなのは分かっていたし、カウンターというよりはサイドの裏を狙ってきたり、良いサッカーをしてくるチームなのはわかっていた。でも驕りじゃないけど、僕たちのほうがやれるという自負があった中でのあれだったので、想定を上回られた」

 そう話した久保はベトナムのポゼッション戦術の異質さについて、右ウイングバックのDFファム・スアン・マイン(背番号7)が大外に開きつつ、ボランチの一角のMFグエン・トゥアン・アイン(背番号11)がボール保持のためサイドに寄ってきていた場面を例に説明した。

「でも珍しかったですね。ああやって代わる代わる降りてきて、7番だけ逆サイドに置いて、逆のボランチの11番の選手も日本の右サイドに来ている時もあった。それくらいポゼッション、ボールをつなぐことにかけて、フォーメーションをバラしてでもつないでくる。(日本から見て)あれで逆につなげられたからといってピンチになるわけではないけど、その結果ズルズルと下げられてボールを取れないボールを取れないというシーンがあったので、すごく見ていて面白いサッカーだなと」

 最後は「僕は日本代表の選手だからこれはよくないなと思って試合を見ていたけど、中立の立場の人は面白かったんじゃないですか。現地で見ていたサポーターの方は喜んでいたんじゃないかなと思います」とまでつけ加え、賛辞を惜しまなかった。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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