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完全復活・南野拓実、2年間ノーゴールから連発逆転2G1A「合宿に入って良い感触があった」

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MF南野拓実(モナコ)

[1.14 アジア杯グループD第1節 日本 4-2 ベトナム アルトゥママ]

 苦しみながらも勝ち上がった前回大会を知る28歳が、5年ぶりのアジアカップで日本代表を救った。MF南野拓実(モナコ)は前半11分、エリア内でのこぼれ球を冷静に沈めて先制点を奪うと、セットプレー2発で逆転を許した同45分には、柔らかい股抜きシュートで同点弾を奪取。前半終了間際には逆転ゴールもお膳立てし、2ゴール1アシストの大活躍で白星発進の立役者となった。

 こぼれ球を沈めた先制の1点目も、MF遠藤航からのパスを流し込んだ同点の2点目も、力みのないシュートでゴールを陥れた。「今回の合宿に入ってからシュートは良い感触があった。メンタル的に特には変わっていないけど良いフィーリングはあった」。2021年2月1日のカタールW杯最終予選サウジアラビア戦を最後に約2年間もゴールから見放され、気負いが感じられた時期もあったが、元日タイ戦(○5-0)からの2戦連発で完全復活を印象づけた。

 特に2点目はシュートの強さよりも、華麗に股を抜く精度が勝負を分けた。

「航くんがいいボールをくれて、シュートというのがあった中で、ターンした時に相手の股しかなかったんですよね。コースが。その先のゴールはちゃんと見えていないけど、なんとなくあそこのゴールシーンは股を抜いてというのがキーパーにとって難しい。あのタイミングでシュートを打てばチャンスにつながるかなというのがあった。そこでスムーズに身体が動いているのはいいコンディションで来られているからだと思う」。感じていたフィーリングの良さを結果につなげる一発となった。

 また南野は前半アディショナルタイム4分、鋭いラストパスからFW細谷真大の決定機を演出すると、その後の二次攻撃にも加わってMF中村敬斗のミドルシュート弾をアシスト。「敬斗のスーパーゴール。僕はただパスを出しただけなんで」と謙遜したが、チームを窮地から救った上で逆転に導く2ゴール1アシストという輝かしい数字を残した。

 さらに前半は守備での奮闘も光っていた。最前線の細谷を筆頭にプレッシングがうまくハマらない中、トップ下の位置から最前線にまで駆け上がって相手を牽制。「感覚の部分だけど、自分が行けると思ったタイミングで高い強度でプレスをかけることはずっとやってきたことだし、チームのなかで自分が求められていることでもある」。南野自身は冷静に振り返ったが、これも森保ジャパンのトップ下に求められる大事な役割だ。

 試合後、森保一監督は「今日のような厳しい、難しい戦いの中では、技術を持ってハードワークをできる選手じゃないとアジアでも世界でも勝っていくのは難しい」とした上で「彼はゴールを決めるだけの技術も持っていて、流れの中で的確な技術を発揮できる。かつ攻撃も守備も献身的にチームのために戦ってくれる選手が必要だということを結果をもって示してくれた」と述べ、南野の攻守の貢献に賞賛を惜しまなかった。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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