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苦戦も予期していた谷口彰悟、敗戦で始まった活発議論に「また良い流れができると思う」

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日本代表DF谷口彰悟(アルラーヤン)

 大会前にイメージしていた苦境は、予想以上の形となって立ちはだかった。日本代表DF谷口彰悟(アルラーヤン)はアジアカップ第3戦インドネシア戦を翌日に控えた22日、報道陣の取材に対応。「イラク戦の敗戦から前を向いてできている。思い切って戦いたい」と意気込みを述べつつ、アジアの厳しさに思いを向けた。

 谷口は初戦ベトナム戦を控えた14日、アジア王座奪還に決意を込めながらも今大会の苦戦を予言していた。

「もちろん優勝しか考えていない。優勝以外では評価されないだろうと思っている。僕らの目標はW杯で頂点に立つということで、目標から逆算して考えるとアジアは絶対的に勝ち取りたい。ただそれが変なプライドにならないようにだけは気をつけたい。もちろん自分たちの志は高いけど、いま戦っているのはアジアカップなわけで、目の前の1試合1試合をしっかり戦っていかないことには優勝はできない。試合展開によってはボールを握られることもあるだろうし、劣勢になる時もあるだろうし、そういった時に変に自分たちのプライドで、自分たちのゲームじゃなくなるというのはやってはいけない。どんな試合も謙虚にスタートからやっていければ」

 初戦のベトナム戦、第2戦のイラク戦はまさに予期されていたような展開だった。対戦相手が日本のウィークポイントを突いてくることは想定されたが、相手に対する意思統一に問題があり、それぞれの弱点やミスを補い切れなかった。その結果、カタールW杯以降のチームにはなかったような安い失点が続発。イラク戦ではグループリーグで35年ぶりの歴史的敗戦を喫するにまで至った。

 谷口は「こういうゲームは少なからずあるだろうなと予想していた。ただ、もちろん負けるところまでは考えてはいなかった」と振り返りつつ、苦戦をポジティブに位置付けようとしていた。

「実際に難しいゲームになって、負けたというのは結果を真摯に受け止めて次に進まないといけない。みんなアジアは難しいと頭では分かっていると思うけど、ああいうゲームを通して改めて実感したと思う。簡単に勝てる大会ではないとあらためて実感したので、もう1回スイッチを入れ直してやらないといけない」

 イラク戦の敗戦後、選手間では活発なミーティングが行われるようになり、セカンドボールの回収や、最終ラインの押し上げ、攻撃の組み立て方など細かい部分を議論。「みんな思っていること、感じたことで、試合の内容から建設的ないいディスカッションができた。周りの要求も理解できたし、お互いの気持ち、意見はいいコミュニケーションが取れていた」(谷口)。苦戦の想定がチームに幅広く行き渡り、浮上に向けた前向きな機会になったようだ。

「今までできていたことがおそろかになっている部分は直していかないといけないし、アジアの戦いというところで変えていかないといけないところがあるし、相手によって変わってくるところは臨機応変にゲーム中も含めて対応していかないといけないという意味で、一歩踏み込んだ話し合いができている」

 そんな手応えを口にした谷口は「空気は悪くないし、俺がやってやるという気持ちを持ちながらトレーニングできている。みんなで前を向きながらやれていると思う」とチームのムードにも太鼓判。「この敗戦を無駄にせず、次に活かすという意味ではいい話し合いができている。みんな次に向けて動いているし、いい流れがまたできると思う」と前向きに展望した。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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