beacon

全5試合で先発を任されたGK鈴木彩艶「何もできなかった大会だった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本代表GK鈴木彩艶

[2.3 アジア杯準々決勝 日本 1-2 イラン ドーハ/エデュケーション]

 後半5分に背後へ抜け出したFWサルダル・アズムンのシュートをセーブするなど、今大会5度目の先発を任された日本代表GK鈴木彩艶(シントトロイデン)のパフォーマンスはこれまでの4試合と比べて最も安定していた。しかし、結果は2失点。1-2の逆転負けで無念の敗退となった。

「何もできなかった大会だったなと率直に思っています」と力ない声で言った。「毎試合、勝利はもちろん、無失点を目指していますが、大会を通して自分がゲームを壊すようなシーンが多かった」と自分を責めた。

 大会前の代表キャップ数はわずか4試合ながら、ビッグトーナメントの守護神に抜擢された。グループリーグでは初戦のベトナム戦(○4-2)で2失点。続くイラク戦(●1-2)も2失点でまさかの黒星を喫し、批判にさらされた。グループリーグ最終戦のインドネシア戦(○3-1)ではクリーンシートをあとわずかのところで逃した。それでも下を向くことなく、前向きに自己を高めていった。決勝トーナメント1回戦のバーレーン戦(○3-1)も失点はあったが、勝利に気持ちをフォーカスし、前を向いた。

 こうして迎えた準々決勝のイラン戦。1-1で迎えた後半アディショナルタイムのPKの場面では、チームを救う気概でゴールマウスの前に立った。イランのキッカーであるMFアリレザ・ジャハンバブシュは、PK戦となった決勝トーナメント1回戦のシリア戦でPK戦には出てこなかった選手。それでも彩艶の読みは当たっていたが、強いボールをゴール左上に蹴られ、止めることはできなかった。

「代表でやる以上は1試合目から高いレベルのパフォーマンスを見せなければいけなかった。今日のゲームは比較的、悪くないような内容でしたが、でも失点部分の自分のチームへの関わり方と言いますか、そういうところは直接スコアに影響を与えてしまったと思う」

 5試合目でようやくポテンシャルを発揮しただけに、ベスト8での敗戦は残念だが、サッカー人生はまだまだ続いていく。「この経験は今後に生かさなければいけないし、A代表でプレーするという難しさを改めて感じた。そういった責任の中で高いパフォーマンスで発揮できるように、この場所に戻ってこれるように、やり続けるしかない」と自らを奮い立たせた。

(取材・文 矢内由美子)

●AFCアジアカップ2023特集
▶久保・三笘・冨安らが参戦!CL・EL決勝トーナメント全試合見るならWOWOWで!
矢内由美子
Text by 矢内由美子

TOP