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土壇場PK献上に自らを責めた板倉滉「このままだと代表のピッチに立つ資格はない」

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DF板倉滉(ボルシアMG)

[2.3 アジア杯準々決勝 日本 1-2 イラン エデュケーション]

 相手の得点によって大きく長引いた後半アディショナルタイム10分、日本代表の敗退を告げるホイッスルが鳴り響くと、DF板倉滉(ボルシアMG)は足早にロッカールームへと向かい、チームの輪に加わることはなかった。それから約1時間後、ランダムで担当するドーピング検査のため他の選手から遅れて取材エリアに姿を見せ、その時の悲痛な思いを吐露した。

「本当に申し訳ない気持ちですね。もちろんチームメートにもそうだし、日本から応援してくれている人もたくさんいたと思うので。今日の敗因は自分にあると思うし、CBの自分がもっと良いパフォーマンスをしていれば日本代表は勝てたと思う。非常に申し訳なく思っています」

 試合を通じて精彩を欠いていた。イランは時間を追うごとにロングボール攻撃の比重を増やし、力強く攻勢に出てきた中、競り合えずに入れ替わられる場面が頻発。幸運にもオフサイドに救われて失点を免れることもあったが、これまで代表やクラブで見せてきた安定感を思えば、らしくないパフォーマンスが続いた。

 その結果、失点にも大きく絡んだ。1-0で迎えた後半10分、FWサルダル・アズムンからのスルーパスに反応が遅れ、斜めに走り込んだFWモハマド・モヘビに同点ゴールを献上。同アディショナルタイム4分にはクロス対応でDF冨安健洋とポジションが交錯し、危険なエリアでのこぼれ球を生むと、慌ててアプローチしたことで相手を倒してしまい、決勝点につながるPKを与えた。

「(PKの場面は)1個前の時点でクリアできれば良かったという思いはあるし、後ろから走ってきた相手がちゃんと見えていなかったという視野の狭さを反省しないといけない。(冨安からの指示は)ギリギリで声が聞こえたけど、後ろの状況を把握できていなかった中でボールに行くという選択をして、触ることができず、こぼれたボールしか見えていなかった。状況の把握をもっとちゃんとやらないといけなかった」

 そう反省した板倉は「最後のところも、その前の失点も自分のところ。非常に責任を感じている」と自らを責めた。試合後のドーピング検査の最中もその不甲斐なさは拭えなかった。

「こんなに自分自身でゲームを壊すということは今までなかったし、それを勝たないといけないこの状況でやってしまったというのは自分の力のなさがここで出たなと感じている。より一層サッカーに向き合って、もっとやっていかないといけないなと思う。このままだと代表のピッチに立つ資格はないなというのを自分自身感じた」

 らしくないパフォーマンスの要因には、前の試合で痛めた左足や、大会前に患っていたという体調不良の影響もあったはずだ。しかし、板倉自身は欠場したグループリーグ第3節インドネシア戦の際ですら積極的には語ろうとはせず、所属先のボルシアMGの監督が現地会見で明かしたことで広く知れ渡る形となったのみだった。

「もうピッチに入ったら正直そんなのは関係ないと思うし、中2日とかそういうのも相手と同じ条件で戦っているのであって、その中でああいうパフォーマンスをしている時点で、やっぱり代表選手としてピッチに立つ資格はないというのは自分自身強く感じた。もっと責任感を持ってやりたい」。終始自らに責任を突きつけながら、ここからの奮起を誓った。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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