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北朝鮮のロングボールを跳ね返し続けた南萌華「足がもげても走ると決めていた」

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試合終了の瞬間、大きく腕を上げるDF南萌華

[2.28 五輪アジア最終予選(女子)第2戦 日本 2-1 北朝鮮 国立]

 パリ五輪切符をつかんだ瞬間、日本女子代表(なでしこジャパン)不動のセンターバックへと成長したDF南萌華(ローマ)の胸には安堵の思いがわき上がっていた。「ここでパリに行けるか行けないかで、個人としてもそうだし、女子サッカーの未来が変わると思っていた。とにかくホッとしたという感じです」。ピッチ上で両腕を高々と上げて感情を表現した25歳の弾ける笑顔に歓びがあふれ出ていた。

 知恵と意地を結集して北朝鮮に立ち向かった。5バックの相手に守備がはまらず苦しんだ第1戦を踏まえ、この日は3バックで挑んだが、それは選手間の話し合いで出た意見を池田太監督に伝え、そのうえでのシステム変更だったという。

「初戦は(熊谷)紗希さんの脇のスペースでセンターバックが強くいけないという現象が起きていた中で、終わってからすぐ『3枚の方がはまるよね』と選手間で話して、それを(池田)太さんと共有して3枚で挑もうとなった」(南)

 これが効いた。南とDF高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)のコンビで北朝鮮のロングボールを跳ね返し、ペースをつかませなかった。「私もそうですし、(高橋)はなだったり、(熊谷)紗希さんもすごく強くいけた部分があった。これは日本人の良さ。初戦の改善をしっかりと2戦目にできたのは良かった」と胸を張った。

 育成組織時代から浦和で育ち、レッズレディースでの約6年間のプレーを経て、2022年にローマへ移籍。日本女子代表としても2019年からコンスタントに呼ばれ、今では主力としてプレーするようになっている。

「代表に入ってすぐは引っ張ってもらうような立場だったけど、今はチームを引っ張ったり、チームの軸になるような選手に成長できているかなと思う。パリ五輪という大きい大会で日本を見せられないのはもったいない。きょうはとにかく勝つだけでしたし、足がもげても走るというのは決めていた。それがしっかりとできたと思う」

 次はパリの舞台で、なでしこジャパンのサッカーを世界に見せつけるつもりだ。

(取材・文 矢内由美子)
矢内由美子
Text by 矢内由美子

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