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日本vs北朝鮮 試合後の池田太監督会見要旨

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[2.28 五輪アジア最終予選(女子)第2戦 日本 2-1 北朝鮮 国立]

 日本女子代表(なでしこジャパン)は28日、パリ五輪アジア最終予選の第2戦で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と対戦した。日本はMF藤野あおばの決勝ゴールを守り抜いて、2-1で勝利。2大会連続6回目の五輪出場が決まった。

以下、試合後の池田太監督会見要旨

●池田太監督
「しっかりと勝利し、パリオリンピック出場権を獲得できたことをうれしく思うし、タフな試合を戦った選手たちに敬意を表したい。そして何よりも国立競技場に2万人を超すお客さんが来て、選手の背中を押してくれたし、テレビの前で応援してくださった方々もいる。今日の勝利で少しでも感動を届けられたらと思っている。出場権を取って、さらに上を目指すために戦っていくので、引き続き応援と、メディアの皆さんも一緒になって女子サッカーを盛り上げていけたらと思う」

―3バックに変更した狙いと五輪の目標について。
「システムについては、1戦目を見て、前線の選手の距離感をどう保つかというのもあったが、W杯が終わってからシステムを変えてチームの幅を広げようとトライした中で、1戦目と2戦目でシステムを変えようというストーリーは頭の中にあった。1戦目の反省を生かした前線の距離感、幅を使った攻撃とか、いろんな部分を総合して、選手もうまくそれに対応してプレーできたと思う。2点目については、これからもちろんドローもあるし、12チームという少ない大会になる。どこが来てもグループリーグから強豪国と当たるのは分かり切っているので、しっかり準備していきたいし、我々なでしこジャパンは世界一を目指して、金メダルを目指して進んでいきたい。またここから成長と強化を続けていきたい」

―北川と上野を起用した狙いは。
「北川選手は左サイドのウイングバックのポジションで、左利きなので持ち方、キックの質、クロスの質はWEリーグでも見せてくれていた。そういった部分で良さが出るのではないかと。上野選手も相手のDFと中盤のライン間で受けるタイミングは所属チームでも良さが見えていた。高い技術力もあったので、前線のコンビネーション、1トップの田中選手を孤立させないためにも彼女のが良さが出るのではないかという狙いがあった。2人ともしっかりチームの狙いと自分の良さを出してくれた」

―ミスも目立ったがコンディションはきつかったか。
「コンディションが悪いというか、移動や過密日程の中ですべてベストかは分からないが、今の状態、回復具合、大きなケガなくということでは全員が戦える状態だったのは間違いない。技術的なミスは今後も修正して、成長していきたい。ピッチコンディションや、相手のプレスに少し技術がブレた部分があるかもしれないが、しっかり対応して戦ってくれた選手たちを称えたい」

―どんな熱い言葉をかけたのか。
「試合前のミーティングでは、五輪出場がかかっているシチュエーションを選手は理解しているので、モチベーションに関するアプローチはなかったが、何かがかかっている試合に挑むという部分の興奮度、それはやはり私もそうだが、味わうことのできない一戦だと思うので、その一戦をしっかり味わないながらピッチで躍動しようという声がけをした。ハーフタイムでは1点リードで戻ってきた中で、落ち着きながら2点目を取りに行こうという部分も含めて、相手のタイトなディフェンスに対してどうやってスペースをつくるのかなど具体的な話もしたし、その中で追加点を挙げて2点リードを取れたところはしっかりプレーできたんじゃないかと思う」

―1戦目と2戦目で変えるストーリーというのはいつからあったのか。
「プランニングはしていたが、絶対やろうとも思っていなかった。そういうシチュエーションになったからできた。W杯が終わってチームのやれることを増やしていくところから、違うシステムにトライした。オリンピックを考えると、中2日でタイトな試合になったときに相手によっていろんな戦い方、いろんな選手がプレーできるように、そして7月、8月のパリは暑いので、自分たちがしっかりボールを動かせるような相手との嚙み合わせの中で、いろんなシステムができないといけないなという部分からW杯後にチームの幅を広げた。今回のDPRコリア戦に向けても相手の出方によってはシステムを変えられることがプラスになることもあるのではないかと。初めから決めていたわけではないが、1戦目の前線の距離感からもう少し関係をつくれればなということで、今回は3バックにして、幅を使える選手を入れてということを考えた」

―1人目の交代をしたあとなかなか動かなかったのは。
「交代によってバランスが崩れることを考えた。バランスというか、選手がDPRコリアの攻撃のテンポに慣れてきていたのもあったので、そういうことも考えた。清家選手はスピードに特徴があるので、自陣に押し込まれても狙い通りのチャンスが生まれた部分では、そういう狙いも出た。交代カードを取っておきながらどう時間を進めるかとか、延長も考えながらどのタイミングにしようかというのは考えていた」

―今後の強化のポイントは。
「少しプレッシャーを強くかけられると、自分たちのボール、主導権を握れる部分が少し薄れてしまうところはもっと強化して、相手のプレスに対してもしっかりボールを動かし、相手の穴を突いていけるような、そういった強度の中でのプレーの質は上げていきたい」

―この勝利の意味は。
「たくさんの方に来場いただいた中で選手が喜ぶ姿を見てもらうことで感動もそうだし、これからサッカーを始めたいなと思う少女たちが増えることを願っている。この2戦目をホームでやり、そこで出場を決めるというプラン、狙いがあった。2次予選のウズベキスタン戦でも、2戦目がホームになるようにいろいろ考えてプレーした。この2戦目をしっかり勝利して、喜びを皆さんと分かち合えたことは女子サッカーの発展につながっていってくれれば幸いだし、引き続きも頑張っていきたい」

―2戦とも拮抗した試合だったが、北朝鮮の印象は。相手のサポーターも多く駆け付けていたが。
「DFPコリアの選手一人ひとりの強さ、技術力、ゴールに向かう推進力では、個人の能力も高いし、チームの狙いと組織力も備わってきて、難しい試合になるなというのはあった。2試合とも選手の強さ、組織力は出ていたと思う。サポーターの応援についても、人数も多く、このアウェーの中でDPRコリアをサポートしているなというのは感じたし、試合が終わって挨拶するときにも逆にオリンピックで頑張れという声もいただいて、サッカーを愛する仲間としてスタジアムに来てくださったことはうれしく思っている」

(取材・文 西山紘平)
西山紘平
Text by 西山紘平

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