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J復帰の槙野が主役!!代表初ゴール&先制アシストにPK献上も…

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[2.24 キリンチャレンジ杯 日本3-1アイスランド 長居]

 1年間在籍したケルン(ドイツ)から浦和に期限付き移籍でJリーグに復帰した日本代表DF槙野智章が左SBで先発出場。3得点に絡む猛烈なデモンストレーションでアピールに成功した。

「笛が鳴った瞬間から100%で行こうと思っていた」

 その言葉通り、キックオフから1分余りで早くも左サイドをオーバーラップ。FW大久保嘉人(神戸)とのコンビネーションでパスを受けて縦に深くえぐると、相手をドリブルでかわしながら右足アウトサイドで絶妙なクロスを上げる。これをFW前田遼一(磐田)が打点の高いヘディングで決め、わずか2分での先制劇を演出した。

「いい入り方ができたことで、その後の自分のプレーにいい形でつながった」と振り返る表情に充実感を浮かべると、後半34分にはツキも槙野に味方する。MF中村憲剛(川崎F)のFKに合わせてシュートを打つと、こぼれ球が槙野の目の前に。「ついているなと思った」と、倒れ込みながら右足で流し込み、代表初得点を挙げた。

 だが、これで終わらないのが槙野らしいところだ。後半ロスタイムにはPA内で相手を倒してPKを与える“痛い”おまけもついてしまった。それでも、90分間のフル出場は10年9月7日のグアテマラ戦以来で、ザックジャパンでは初。昨年10月7日のベトナム戦で両足と背中をつって交代の憂き目に遭った“後半23分の壁”も見事に乗り越えてみせた。

「ドイツに渡ってからゴールがなかった」と言うが、そもそも出場機会すらほとんどないという屈辱を味わったのが、ドイツでの1年間だった。けれども、そこでくじけないのが槙野の強み。「ベトナム戦のあとにケルンに戻って、走り込みや体幹トレーニングなど、ゼロから体づくりをした」と、よりたくましい肉体改造に成功してザックジャパンに合流した。1月から所属している浦和では、広島時代の恩師であるペトロヴィッチ監督の指揮の下、厳しいメニューをこなしてコンディションを上げてきた。90分フル出場でアピールに成功したのはJ復帰効果でもある。

 そんな槙野が次に見据えるのは左SBで絶対的な地位を築いているDF長友佑都(インテル)への挑戦だ。「現時点で僕が長友を上回るところは一つもないが、これから研究して、何を磨いていかないといけないのかを考えたい」。存在感たっぷりの男はそう言って前を見つめた。

(取材・文 矢内由美子)

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