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大久保&石川の“復帰組”は不完全燃焼も「刺激的な日々だった」

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[2.24 キリンチャレンジ杯 日本3-1アイスランド 長居]

 完全燃焼とはいかなかった。南アフリカW杯以来の代表復帰となったFW大久保嘉人(神戸)と、W杯直前に代表メンバーから外れたFW石川直宏(F東京)。ザックジャパン初選出の“代表復帰コンビ”は、その持ち味を100%発揮することはできなかった。

 左MFで先発し、ハーフタイムに交代した大久保は「難しかった」と第一声。前半2分に左サイドで起点となり、DF槙野智章のオーバーラップを促し、先制点を演出したが、自身のプレーには納得いかなかった。

「今日はコンセプトを頭に入れた感じ。コンセプト、やり方がまったく全然違うので。テレビで見ていたのとは全然違ったし、テレビでは分からない」

 縦に速いザッケローニ監督の戦術に戸惑いを隠せず、「もっと(相手を)引き付けていいときもあったし、ちょっと速すぎというか、もったいないなって思うときもあった」と不満げに振り返ると、「みんな『最初はできないから』と言っていた。このやり方でやったら戸惑う」と自分に言い聞かせるように話した。

 石川は後半19分からの途中出場だったが、チームが劣勢だったこともあり、見せ場は後半43分に右サイドから切れ込んで左足ミドルを放った場面ぐらい。「自分に求められているところと、目指すところが近いところにある」と、こちらは前向きにザック流を消化しているが、「少ないチャンスをものにできるかどうかだと思っていたし、そこは反省点。結果で言えば、まったくアピールはできていない」と悔しさをのぞかせた。

 事細かに約束事を設け、戦術を徹底するザッケローニ監督の狙いを“一夕一朝”で体現できるものでもない。常連組にアドバンテージがあるのは確かで、いきなりチームにフィットし、結果も残せというのは厳しい要求だろう。

 大久保は「ここで結果を出す必要はない。まだ長いし、明日、W杯があるわけじゃない。ここで一回、コンセプトが頭に入ったのは大きい」と前を向き、石川も「チームに残るかは別にして、今回の経験は自分の中で大きかった。残るかどうかは分からないけど、経験だけでも刺激的な日々だった」と強調。チームの底辺を広げ、底上げしたいという指揮官の狙いは、5日間の合宿と親善試合をこなすことで一定の成果を得たはずだ。

(取材・文 西山紘平)

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