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五輪代表の競争が激化。常連の山口が外れ、清水・村松を招集

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 日本サッカー協会は18日、第40回トゥーロン国際大会(5月23日~6月1日)に出場するU-23日本代表メンバーを発表した。海外組が5人招集されるなど、フレッシュな顔ぶれも見える一方で、常連の名前がリストから消えていた。関塚ジャパンが結成されてから、唯一全21試合に出場した中盤のハードワーカー、MF山口螢のことだ。

 関塚隆監督は「山口選手については、ある程度力を分かっています。これまでも、その時点でベストなチームを編成しながらやってきましたが、今回もタイトルのかかった国際大会です。今回は前の選手に海外でプレーしている選手が多い中で、後ろがどれだけできるか、いろいろなトライをしたい。個人的なことよりも、全体の編成の中で今回はこのメンバーで行くと決定しました」と山口のパフォーマンスではなく、チームの戦い方を考慮したうえでの選考だったと説明する。

 これまでの予選と本大会では、戦い方を変える可能性もある。最終予選までは日本を相手に、引いて守備を固めてくるチームとの試合が多かった。しかし、本大会では初戦で戦うスペインを筆頭に、日本戦だからと引いてくるチームはないだろう。

 関塚監督も「スタイル的には、今までやってきたこと。自分たちでボールを動かして仕掛けて崩して得点する。相手に対してもリスク管理をして、前でボールを奪って攻撃の時間を長くするスタイルは変わらない」と前置きしながらも、「スタイルと結果の両方を求めたい。その中で、守備的に戦うために一つか二つのポジションを変えなければいけないかもしれない」と口にした。この後者の発言が本音なのだろう。

 もともとトップ下でプレーしていた山口は、攻撃でも高い能力を発揮できる。しかし、最終ラインの前に、専守防衛のアンカーを置いておきたいというのが指揮官の考えだろう。ボール保持力では右に出るもののいないスペイン戦はもちろん、「この前のプレーオフや北中米予選も見てきましたが、強烈なFWもいます」とホンジュラスやモロッコに対しても関塚監督は警戒を強めている。

 そこで抜擢されたのが、最終予選では一度もプレーしていない清水エスパルスのMF村松大輔だ。リーグ戦で2位(7勝1分3敗)と好調のチームで中盤の底に入り、高い守備力とスピードを生かし、多くのピンチの芽をつぶしている。

「これまで招集したときはCB、右SBでプレーしていたのですが、今、清水はチームも好調ですし、一つ上がったポジションの中で、(最終ラインの)一つ前で壁になりながら、強力な攻撃陣を支えている。それがこのチームに世界と戦う中で、どれだけ機能するか。ここを期待したいと思っています」と関塚監督も明確な招集意図を語った。

 クラブを通して村松は、「このタイミングで選んでいただけたことに驚きもありましたが、とても嬉しく思います。(代表に)選ばれない時期が続きましたが、今回選ばれたことはエスパルスで頑張ってきたことが評価されたということだと思いますので、嬉しいです。ここで(U-23代表に)入ったということは意味があることだと思いますので、精一杯アピールして、オリンピックメンバーに残りたいと思います。応援よろしくお願いいします」と意気込みを語っている。

 激しさを増す18人の登録メンバー枠の争い。「これから選手を見極めるチャンスはそれほどない。限られた中で選手を見極め、チームに与えるインパクトを全体として見ながらメンバーを決めて行きたい」と話した関塚監督は、「国内の選手はこれからも見る機会がありますし、いろいろな条件を考えて今回のメンバーを選考した」と付け加えた。本大会まで70日を切り、メンバー入りを賭けた競争はさらに熱を帯びる。与えられたチャンスを生かし、最終的にロンドンへの切符をつかむのは、誰になるのか。

(取材・文 河合 拓)

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