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21位の鳥取に現れた救世主、FW久保とDF藤本

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[7.22 J2第25節 横浜FC 3-1 鳥取 ニッパ球]

「光は感じていますし、今日は楽しかったですよ」。このDF戸川健太の言葉は、決して強がりではない。横浜FCに1-3で敗れたガイナーレ鳥取だが、シュート数は相手の倍となる16本を数えた。今シーズン2度目となる4連敗を喫してしまったが、内容は決して引けをとっていなかった。

 勝利から見放されながらも、戸川が「光」を感じることができた大きな要因に、FW久保裕一とDF藤本修司という2人の存在がある。出場機会を求め、J2の千葉から期限付き移籍で加入した2人は、この試合が鳥取でのデビュー戦だった。

 久保は後半32分、セットプレーからチームにとって3試合ぶりとなるゴールを決めた。それ以外にもオフサイドとなったが、サイドからのクロスに合わせてゴールネットを揺らす場面が2度もあった。流れの中でも、前線でボールを受けて攻撃の基準点となり、後方の選手が押し上げる時間をつくるなど、移籍後初出場とは思えない連係を見せていた。

「こっちに来て、早くに1点を取れたのは良かったですが、負けたので悔しいですね」と唇を噛む23歳は、「僕は個人でやるタイプではないので、周りとの連係を高めていくしかない」と、初ゴールを喜ぶ以上にオフサイドとなった場面を悔しがった。それでも、「(チームとして)シュートで終われていない場面が多かったのが、少しは解消できました。負けてはダメですが、もっとゴールを増やすためにも継続してやっていきたいし、それができると思う」と手応えを口にした。

 Jリーグに初出場したDF藤本は「勝ち点1を大事にするチームに来たのに、勝ち点を拾えなかったことが残念」と、結果を重く受け止めた。初出場とは思えない落ち着いたプレーを見せていた藤本は「結構、緊張するタイプなので最初は固さもありましたが、徐々に試合に入ることができましたし、その部分ではいけたかなと思います」と、個人的な手応えを述べた後にチームとしての手応えも語っている。

「内容も大事ですが、勝たないといけない。それでも、思ったよりも横浜が前から来なかったこともありますが、これまで自分たちが外から見てきた試合よりは、回す時間もあったし、リズムをつくれていたと思います」

 この試合を終えて21位の鳥取(勝ち点17)は、次節19位の岐阜(勝ち点20)と対戦する。吉澤英生監督は「点を奪うためには必要な存在だと改めて分かった」と久保を評価し、「足をつった中でも最後まで守備をやっていた。出来は良かった」とJデビューの藤本を労った。自分たちは勝ち点を呼び込むために加入した。その自覚を強く持つ若い2人は、下位脱出を目指す鳥取にとって大きな力となるはずだ。

(取材・文 河合拓)

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