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[練習試合]J1クラブに無敗の長崎・高木監督「失敗から学ぶことを怖れないでほしい」

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 今シーズンからJ2に戦いの舞台を移すV・ファーレン長崎は12日、セレッソ大阪と練習試合を行い、0-0で引き分けた。試合後、高木琢也監督は「格上の相手と戦ってトライすることで出て来る良い場面と悪い場面があった。選手たちのトライする姿勢は良かったと思うし、これに満足せずにチャレンジしてほしい」と、選手たちへの期待を口にした。

 JFLから昇格を決めたばかりの長崎にとって、J2は未知の舞台だ。開幕まで1か月を切り、チームは練習試合を多くこなす中で、レベルアップを目指している。2日にJ1に昇格する大分に1-0で勝利したのを皮切りに、7日には横浜FMと1-1で引き分け、この日もC大阪と0-0で引き分けた。練習試合でJ1クラブに負けていないのだ。この日のC大阪のようにベストメンバーが出ていないこともあるだろうが、自信が積み重なっていることは、間違いない。

「マリノスとも、大分とも良いゲームをやっています。なかなか点は取れていなくても、『これ』っていうものを選手たちは感じていると思います。何も感じていなかったらダメですが、試合をやるごとに自信を一つずつ付けていると思います」と、高木監督も言う。

 J1クラブと戦うのにも、理由がある。「こういうチームと戦うことでしか、感じられないことを感じ取ってほしい」と、高木監督は説明する。「たとえば横浜FMは切り替えがすごく早くて、なかなか前に行けなかった。ああいうチームと試合をすれば、少し隙のあるチームと試合をしたときに、うまく間が取れたりする。今日も扇原(貴宏)選手が後ろ向きで受けたボールを、すぐに前にロングボールで蹴ってきました。J1のクラブと戦うと、ああいう『ここは来ないだろう』という所にボールが出てくるんです。ああいうのを感じてほしい」と、説明した。

 試合をこなす中で、当然、課題も見えてくる。例えば後半の立ち上がり、MF小笠原侑生が折り返したボールを、FW佐藤洸一がヘッドで合わせた場面だ。シュートはGKの正面に飛び、キャッチされた。「あのヘディングも、(GKに)バックパスをするんじゃなくて、決めてほしいよね」と、冗談交じりに注文する指揮官だが、シュートまで行った姿勢は高く評価する。「こういう場面があったから、今度は『あのシーンを入れる』っていう意識で練習に取り組んでくれると思う。失敗から学ぶことを怖れないでほしい」と、成長に期待を込めた。

 個のレベルで勝つことが難しくても、チームとして対等に戦えたらいいと高木監督は言う。「新しいチャレンジ、新しいシーズンを迎える中で、戦力としてはどこかのクラブと比べたら落ちるかもしれません。一人ひとりの力では、どうしようもなくても、集結した力が同じレベルになればいいと思います。そのための練習とか、そのためのことを常にやっています」。故郷・長崎の初代J監督として準備を進める高木監督は、新シーズンに向けて静かに燃えている。
(取材・文 河合拓)
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