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得点量産で初のベストレブン&得点王のFW大久保「ようやく実感わいた」

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 最終節の横浜F・マリノス戦を終えた直後の時点で、川崎フロンターレのFW大久保嘉人は、得点王になることが確定していた。しかし、1シーズンで26ゴールを量産したアタッカーは、「まだ実感がない」と語っていた。それでも、10日の「Jリーグアウォーズ2013」で表彰されて、ゴールデンシューズを受け取ったあとには、「今日で『取ったな』と、ようやく実感がわきました」と笑顔を見せた。

 横浜FM戦後には、今年5月に亡くなった父・克博さんへの思いを口にし、「そういうシーズンに得点王を獲れたのは…」と、言葉に詰まった。この日のスピーチでは、そのことに触れなかったが、「そこは絶対に言わないと決めて来た。ここでそんなことは、言えない。シーズンが全部終わってから、お墓に報告に行きます」と話した。

 26ものゴールを重ねたが、残念ながらベストゴールの候補にはノミネートされなかった。式後のミックスゾーンでは、隣にベストゴール賞を受賞したセレッソ大阪時代の後輩でもあるFW柿谷曜一朗がいることを確認すると、大久保は「アイツのゴールは大したことない。(佐藤)寿人さんのゴールが一番すごかった。今年できたばかりの賞だからね。誰が取ったのか知らんけど」と柿谷にも聞こえるように言い、笑いを誘った。

 得点王だけではない。大久保はベストイレブンにも選出され、2つの個人賞を受賞した。ベストイレブンがキャリア初の受賞というのは、少し意外な感じもするが「初ですよ。選ばれたのは、良いボールが来たので点を取れたから。攻撃に専念させてもらって、決定的なチャンスも多かったですし、そこできっちり決められたことで、ここまで点が取れたのかなと思います。やっぱり入らなくなるときつくなる。それが(今季は)なかったので、そこが良かったのかなと思います」と、シーズンを通じてチャンスをつくってくれたチームメイト、攻撃に専念させてくれた監督に感謝した。

 大久保の活躍もあり、川崎Fは来シーズンのAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得した。この日は、組み合わせ抽選会もあったが、川崎Fは天皇杯優勝の可能性も残っているため、対戦相手は確定しなかった。それでも大久保は「相手がどこであろうと、あんまり関係ない。ACLも初めてだから、どことやるにしても楽しみ」と言い、「アジアも、Jリーグも、獲りたいですね」と、目をギラつかせた。初の個人タイトルを2つ獲得しても、なお、この男は飢えている。まずは、まだ終わっていない今シーズンの天皇杯に集中する。

(取材・文 河合拓)

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