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スタメン半数若手起用の“新生”鹿島、監督「未来のため」

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[3.1 J1第1節 甲府0-4鹿島 国立]

 理想的な試合運びだった。鹿島アントラーズは前半11分、右サイドからのMF遠藤康のCKを、FWダヴィが頭で合わせて難なく先制に成功すると、同26分にはCKの混戦から遠藤が押し込みリードを広げる。相手が気合を入れ直し臨んだハーフタイム直後の後半2分にはMF小笠原満男のFKからDF昌子源がバックヘッドでゴールネットを揺らす。トドメは終了間際アディショナルタイム3分、再び小笠原のFKからダヴィがこの日2点目となるヘディングシュートを決めて、大勝劇を締めくくった。

「サッカーの中で、流れの中で点を取らなければいけないルールはない。練習でやったことが出来たと思う」。得意のセットプレーからの4得点。会心の勝利に試合後、トニーニョ・セレーゾ監督の表情から笑みが絶えることはなかった。

 鹿島は昨季、7シーズンぶりに無冠に終わった。オフには長年チームを支えたDF岩政大樹がタイ・リーグのBECテロ・サーサナFCに移籍。さらにエース大迫勇也までが1860ミュンヘンへの移籍を果たし、大きな変革期を迎えることになった。この日のスタメンを見ても、19歳のMF豊川雄太、20歳のDF伊東幸敏、21歳DF昌子源、21歳MF柴崎岳、21歳FW土居聖真と20代そこそこのプレーヤーが半数を占めており、生まれ変わった鹿島を印象付けた。

 セレーゾ監督も結果が何よりの良薬と説く。「若い選手が出場するのは今のクラブの現状であり未来のため。まだベテランの助言が必要で、安定しない時期がくるかもしれない。しかし人生と一緒で悪い時にしか分からないこともある」と今季は若手の成長をじっくり見守る構えだ。

 願ってもない大勝劇に気分が悪いわけがない。課題として挙げられる守備陣も、昌子や伊東ら若手を中心としたDFラインが安定していた。「4得点もうれしいが、無失点で終えたことが何よりうれしい」とセレーゾ監督。1G1Aの遠藤康も「意欲的に取り組んだ結果」と手ごたえを口にした。

 4年ぶりの開幕戦勝利を飾り、最高の船出を切った“新生”鹿島。まだまだ発展途上にあるが、このままの勢いで成長を遂げるようであれば、クラブの未来は明るい。

(取材・文 児玉幸洋)

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