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F東京CBを出し抜いた大宮FW長谷川、今季初ゴールが値千金の決勝弾!

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[5.6 J1第12節 F東京0-1大宮 味スタ]

 圧倒的劣勢を強いられたこの日の大宮アルディージャ。特に後半開始後しばらくはFC東京のハーフコートゲームのようになってしまったが、内容と結果が伴うことはなく、一瞬の判断が勝敗を分けた。

 2連敗中のF東京と7戦勝ちなし(3分4敗)の大宮による一戦は、0-0で試合が進む。引き分けの試合でよく見られるように、両チームとも勝ち点3を奪うべく、終盤はノーガードの打ち合いの様相を呈する。迎えた後半アディショナルタイム3分、大宮のGK江角浩司からのキックは、選手の頭上を超えて一気にF東京陣内まで届く。落下点付近にいたのは、大宮のFW、長谷川悠とF東京の両センターバック、森重真人吉本一謙だ。

「森重と自分が競り合うときに、吉本が『流せ』というコーチングをしていた。競らないでセカンドボールを反応しようかなと思って」。長谷川と森重の頭上をボールが超えると、長谷川は素早く反転し、ボールを追いかける。するとボールは、長谷川と吉本の間に落下した。「バウンドが自分のいいタイミングのところで落ちてきた」という長谷川が、スライディングする吉本より早く右足を振り抜くと、シュートはGK権田修一が伸ばした右手をすり抜けてゴールに突き刺さる。

「ゴンちゃん(権田)が触るか触らないかのところまでは見えていたんですけど、その後クラッシュして見えなくて(笑)。外に出たと思ったら入っていたので、ビックリしました」。劇的な今季初ゴールを決めた長谷川は、ともに苦しい時間を耐え抜いたチームメイトに駆け寄り、サポーターに向けて両手を突き挙げた。大熊清監督も「みんなが頑張った、ご褒美のようなゴール」と賞賛する。

 今季全試合に出場していたFWズラタンが、この試合で負傷した。試合直後なので状況は不明だが、「当面は難しいと思う」と指揮官。次戦以降、長谷川にチャンスが回ってくるだろう。次戦はリーグ屈指の攻撃力を誇る浦和との“さいたまダービー”を迎える。F東京戦同様に、まず失点をしない戦い方をすることが予想され、攻撃陣としては苦しい展開を強いられる。「どこのポジションも負担がある。少ないチャンスをつかんでいくしかない」。後半に放った唯一のシュートものにした長谷川は、前を向いた。

(取材・文 奥山典幸)

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