beacon

SB起用続く東京V・中野、PK献上も20歳のDFは反省胸に前を向く

このエントリーをはてなブックマークに追加
[5.7 J2第12節 東京V0-4松本 味スタ]

 守備面では課題を露呈したものの、攻撃面では持ち味である精度の高いキックをみせた。東京ヴェルディのDF中野雅臣はPK献上という悔しさを噛み締めながらも、出場機会を得ている今のチャンスをつかむべく前だけを見据えている。

 0-1で迎えた前半28分だった。松本山雅FCのFW高崎寛之がヘディングで前へ送ったボール。PA内へ抜け出したMF岩間雄大をDF平智広が倒してしまうもノーホイッスル。右サイドへ流れたボールを中野が拾うが、後方から詰めてきたMF工藤浩平に身体を入れ替えられると、慌てて相手を倒してしまった。これでPKを献上。高崎に決められ、0-2に突き放された。

「最初はこぼれてきたら、ワンタッチで外にクリアする意識でした」と言うが、岩間と平が交錯する直前に背後を確認するなか、「一度右を振り返ってみたときに自分がフリーだと思い、前にボールを運ぼうとしてしまった」と悔やむ。背後から迫ってきていた工藤が死角に入っていたため、不意を突かれる形でボールを奪われると思わずファウルしてしまった。

「慌てた? そうですね……。こぼれたときに、自分が対処できるポジショニングがしっかりと出来ていなかった部分があったのが原因だと思います」と20歳のDFは唇を噛んだ。

 ルーキーイヤーの昨季は9試合に出場するも、先発は2試合のみ。今季も開幕戦から第9節までは3試合にベンチ入りするも出番は無い状況だった。それでも直近3試合ではSBに抜擢。3試合連続のフル出場を果たしている。本職はMFだが、U-17日本代表などでCBを経験してきたマルチな能力を今、発揮している。

 この日はPKを献上してしまったように守備面では課題も露呈。裏を取られるシーンも多かった。とはいえ攻撃では正確なボールを前線に供給するなど、持ち味もみせた。中野は「もっと自分のストロングポイントを出していかないといけない。ボールを持ったときは前線でプレーするときよりも、選択肢がたくさんあるなかで、背後を狙うのか、DFが下がっているなら前のスペースを狙うのか、自分が正しい選択をできるようになっていかないと」と表情を引き締める。

 SBとして出場時間が伸びていくなか、ゴールに近いポジションでプレーし、自ら得点を挙げたいという気持ちはあるようで「前で?もちろんそういう気持ちはあります」と言う。「ゴールは狙っていますが、まだまだやっているなかで遠さを感じるので。相手のSBやSHの位置を意識しながら、ゴールの近くでプレーすることも考えてやっていきたい」と話すとおりだ。

 とはいえ今はチームのためにやるべきことが最優先。求められるSBというポジションでチームへ献身し、それを自らの糧にするつもりでいる。「ゴールに近いところでやれるのが一番ですけど、SBでのプレーは出し手になるということなので。自分が受け手に入ったときに、SBからしたらどういう動きをしたら、やりやすいか動きやすいか、今やっていて感じるところ。そこはプラスに考えてやっていきたいです」と思いを明かした。どんな経験にしろ、ピッチで感じたことを自分自身のなかに刻み、成長を続けていく。

 プロ2年目のシーズンで芽を出そうと踏ん張っている中野。痛恨のPK献上に加え、ミスもあったが、まだまだ発展途上の20歳にはこんなところでうつむいている時間はない。「まずは今日の反省点を考えないといけない。でも次の試合へ向けては、最近勝てていないというネガティブな部分は考えずに、自分たちが前向きにやっていくことを考えて。フレッシュな気持ちでやっていきたい」と前向きに次節を見据えた。

(取材・文 片岡涼)
●[J2]第12節1日目 スコア速報

TOP