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名は体を表す、“大将”と書いて“ダイスケ”…U-20日本代表主将MF坂井大将「日本の良さを出せばイケる!!」

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U-20日本代表MF坂井大将(大分)

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 U-20W杯に挑むU-20日本代表のキャプテンを務める大分トリニータMF坂井大将。所属クラブではなかなか出場機会をつかめずに苦しい時期を過ごしているが、「練習から100パーセントで取り組めている」とコンディションに不安はない。5大会ぶりにU-20W杯出場権を獲得したチームの先頭に立つ男は、「一人ひとりが献身的にチームのために戦える」という仲間とともに、待ちわびていた世界との戦いに挑む。

キャプテンマークは
僕が代表して巻いているだけ


――U-20W杯メンバーに選出された率直な気持ちを教えて下さい。
「気持ち的にはホッとしました。僕たち選手はいろいろ考えても仕方ないので、そこまで複雑には考えていなかったけど、(監督の内山)篤さんに21人に選ばれたからには、選ばれなかった人の分までやらないといけないと強く思っています。それと、このチームは今までW杯に向けて、W杯のために活動してきたところもあるので、自分たちが積み上げてきたものを出せる場がようやく来たなと、ワクワクしている気持ちがあります」

――継続してキャプテンを任され、背番号10も託されました。プレッシャーに感じることはありますか。
「10番という番号はサッカー選手にとってすごく良い番号だし、光栄なことですが、あくまで番号ということで、深く考え過ぎないようにしています。キャプテンマークは(昨年10月のAFC)U-19選手権でも巻かせてもらいましたが、ずっとU-20W杯に出場できない時期が続いていて、いろいろなプレッシャーも感じていた。でも、そのプレッシャーを僕一人で受け止める必要はなく、チームをまとめるという意味でも選手一人ひとりがピッチ内外でリーダーシップを取ってくれればいいと思っていたので、試合中に僕が代表してキャプテンマークを巻いているだけという感覚でした」

――キャプテンとして、個人的に心掛けていたこともあると思います。
「新しく入ってきた年下の選手が、伸び伸びできるような雰囲気作りや話しやすい環境を作ろうとは考えていましたが、それも僕がやるというよりも、皆でそういう空気を作れればいいと思っていました」

――U-20日本代表の内山篤監督はメンバー発表会見時に、キャプテンを務める坂井選手への信頼を口にしていました。
「僕としては、前回大会(14年AFC U-19選手権)も篤さんと一緒に経験しているので、信頼は感じているし、コミュニケーションも取りやすい。だから選手と監督のパイプ役というか、選手の話を聞いて篤さんに伝えられたらいいし、篤さんから聞いたことを選手に伝えられればいいと思っています。最終予選(AFC U-19選手権)のときも篤さんに呼ばれて、2人だけで話す時間もあり、チームの雰囲気などを伝えることはありました。僕も皆が心地良く過ごせた方が絶対に良いと思っているので、周りを見ながら気を使っている部分はあるかもしれません」

――名前は「大将」と書いて「だいすけ」と読みますが、由来を教えて下さい。
「親に小学生の頃に聞いたことがありますが、リーダーシップをとってほしい、リーダーシップを取れるような子になってほしいという意味だったと思います。確か、そんな話だった気がします」

――実際に年代別代表でキャプテンを務めており、親御さんも喜んでいるのでは?
「いや、それは分かりません(笑)。ただ、名前のことはそんなに意識していませんが、リーダーシップを取ることは嫌いではありません。小学生以来、キャプテンをやったことはなかったけど、皆がチームのためにやってほしいという気持ちが強く、今のチームにはそうお願いしてきました。ピッチ内ではお互いに要求し合い、ピッチを離れれば本当に仲が良く、チームの雰囲気はとても良いと思います」

――14年のブラジルW杯ではトレーニングパートナーとして、A代表に帯同しました。キャプテンの長谷部誠選手から受けた影響もあったと思います。
「約1か月の間、一緒に活動をさせてもらい、多くの人から影響を受けましたが、長谷部さんはいろいろな人の特長、個性を把握していたし、周りもすごく見えていて、細かいところまで気配りをしていました。僕もキャプテンになったら、そういう気配りができて、皆が過ごしやすい環境を作れればと思っていたので、すごく勉強になりました」

――今回の代表を言葉で表すと、どういうチームだと表現しますか。
「以前、この代表は『何世代ですか?』と聞かれたことがありますが、自分たちだと分かりません(笑)。ただ、一人ひとりが本当にチームのために、献身的にやってくれます。最終予選のときもミーティングで、『6試合あるけど、出場時間は一人ひとり違うし、試合に出られない選手も出てくると思う。でも、そのときに自分の感情を出さずにチームのためにやってほしい』と伝えました。あの1か月は、試合に出られない選手もチームのために戦ってくれたし、試合に出た選手はそういう選手の分までピッチ上で戦った。その結果が、アジアチャンピオンにつながったと思っています。本当に良いチームなので、このチームで世界を相手に戦えるのが今から本当に楽しみです」

仲間の活躍は刺激になるけど
“自分”は“自分”だと思っている


――大分ではなかなか出場機会を得られずに苦しい状況が続いています。
「ここ数試合は、短い時間ですが、途中出場で試合に出させてもらいました。公式戦に出てW杯に行くのと、出ないでW杯に行くのとではメンタル的にもだいぶ違うと思っていたので、少しだけホッとしましたが、今、大分で苦しい状況なのは自分でも理解しているし、これを乗り越えないと一つ上のレベルに行けないと思っています」

――メンタルを維持する難しさもあると思います。
「焦る気持ちもありますが、焦り過ぎてもダメだと思うんですよね。本当に我慢の時期だと思っているけど、この時期は『乗り越えないといけない自分の壁』『乗り越えれば必ず良い方向につながっていく』と考えていて、そういうメンタルがあるからこそ、メンバー外のときも腐らずに練習に取り組めていると思います」

――U-20W杯が近付くにつれて、同代表のチームメイトの多くが試合に絡み、結果を出しました。
「急にですよね(笑)。多くの選手が試合に絡み、点を取っている選手もたくさんいて、『すごいな』と思うけど、僕は人のことは気にしていません。人のことを気にし過ぎて、自分を見失っても仕方ないし、自分のことに集中できずに100パーセントでない状態で試合に出たら絶対に後悔するはずです。代表の仲間の活躍は良い刺激になりますが、自分は自分だと思っています」

――出場機会が限られる中、コンディションを保つために意識していたことは?
「篤さんからも練習から試合同様100パーセントでやり続けろと言われていたので、そこは意識していました。大分では練習試合もあるし、そこで90分間のコンディションはある程度維持できて、試合勘も結局は自分次第だと思っています。だから練習から100パーセント、常に試合を意識して取り組んでいれば問題ないと感じています」

アジア王者になったけど
誰一人満足していない


――13年にU-17W杯に出場していますが(ベスト16でスウェーデンに1-2で敗退)、世界と対戦したときに大会を勝ち上がるには、どういう部分が重要になってくると思いますか。
「日本らしさ、日本の良さを出せればイケるという手応えがU-17W杯のときにありました。組織的に連動性を持って戦えれば、世界を相手にしても全然通用したし、もっと上まで行けたと感じています。スウェーデンにはカウンターから2点を奪われたので、そういう部分は課題だと思いますが、攻守において組織的に戦えれば世界が相手でも通用すると思っているので、日本の良さを出せればイケると思うし、必ず良い結果が得られるはずです」

――初戦が大事と言われますが、今まで多くの大会を経験したことで、それをより感じるようになりましたか。
「13年のU-17W杯では初戦でヨーロッパ1位のロシアに勝って(1-0)勢いに乗れましたが、14年のAFC U-19選手権では中国との初戦を落とし(1-2)、メンタル的に余裕がなくなったというか、選手はどこかに焦りがあった。逆に今回のAFC U-19選手権では硬さがあったけど、イエメンに勝てた(3-0)ことが本当に大きかった。初戦を落とすとメンタル的に追い込まれるので、初戦の重要性は身に染みて感じています」

――坂井選手にとって日本代表のユニフォームを着る意義とは?
「僕はU-16のときから日本代表のユニフォームを着させてもらっていますが、袖を通すときにグッとくるものがあります。代表のユニフォームを着て国歌を歌うとき、国を背負っているのが実感できるし、日本のために戦おうという気持ちになります。本当に光栄なことなので、これからも代表のユニフォームを着続けられるようにしたいし、U-20W杯では日本のために一つでも上にいけるように頑張ってきます」

――U-20W杯で、自分のどういう部分を世界にアピールしたいですか。
「ボールをどんどん受けて出して動いて、というのが僕のプレースタイルです。守備で貢献しつつ、積極的に前に出て得点に絡んでいければと思っています。あとはボランチでコンビを組む相方の特長を見ながら、チームのバランスを取っていきたいですね。今回選ばれたメンバーなら、(市丸)瑞希は足下の技術が高くてゲームメイクができ、原(輝綺)ちゃんならボールを奪う能力が高いので、2人が能力を発揮できるようにサポートしながら、チームのバランスを取れればと思っています」

――20年には東京五輪が行われますが、東京五輪はサッカー選手としてのビジョンの中にはっきりと描かれていますか。
「U-20W杯に出場して東京五輪に出たいという気持ちは常に持っていました。目の前にあるU-20W杯で世界を体感し、世界を改めて知ることで、東京五輪に活かせる部分は必ずあります。でも、そのためには、大分で試合に出て成長していかないと厳しい状況になっていくのは分かっているので、今回のW杯を良いきっかけにして大分でも試合に出られるようにしていきたいです」

――最後に直後に迫ったU-20W杯への意気込みをお願いします。
「篤さんが話しているように、まずはグループリーグを突破しないといけません。第一目標はグループリーグ突破だけど、その中でも初戦が何よりも大事だと思っているので、南アフリカ戦を万全の状態で迎えられるように、心と体をベストな状態に持っていけるように、良い準備をしたいです。僕たちは確かにアジアチャンピオンになりましたが、誰一人満足していないし、慢心もありません。全員がドンドントライしていこうというチャレンジャー精神を持って世界に挑んできます」

(取材・文 折戸岳彦)


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