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シュート打っても記録は0本? 愛媛、“被完全試合”も手応え 「その自信を確信に変えるために…」

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シュート0に終わった愛媛

[3.30 J2第6節 町田1-0愛媛 町田]

 愛媛FCは0-1で迎えた後半44分、クロスを収めたFW有田光希が右足を振り抜いたが、ボールは町田DF酒井隆介のブロックに遭い、最初で最後の決定機を活かせなかった。公式記録のシュート数は0。有田のシュートは記録上認められず、『完全試合』で今季初の2連敗となった。

「町田さんとの対戦でやられるならこういう形だと思っていた」。試合後、愛媛の川井健太監督はそのように試合を総括した。後半19分にセットプレーで失点したものの、その他のピンチは決定機になる前に対処。直前の2試合で採用した3-4-2-1から4-3-3にシステムを変え、町田対策も練っていただけになおさら悔しさがにじんだ。

 シュート数7対0という結果を見れば完膚なき敗戦。だが、フィニッシュの一つ前の精度があればチャンスを作れる準備もできていた。「攻撃では町田さんが同サイドに偏る傾向があり、近藤と神谷(両ウイング)のところで前進できればと思っていた」。そんな思惑どおり、前半終わり際には約10分間の攻勢で危険なロングカウンターも繰り出した。

 しかし、最終局面でのキックの乱れでリズムを失うと、後半はやや対応を変えてきた町田の両サイドバックに封殺され、なかなかゴールに迫ることができず。後半19分にJリーグデビューのDFユトリッチのマーク外しで失点を喫した後、反撃は同44分にMF近藤貴司のクロスから有田が狙った一度にとどまった。

 そうした一戦を振り返り、指揮官は一定の手応えを口にした。「負けるといろんな感情が出てきやすいが、出た選手たちはやれるというメンタリティーを持っているはず。僕の中ではやり方を再考することにはなるが、こういう状況をシーズン最初に味わったのはポジティブ」。狙いが通じた部分もあり、現状の戦い方に疑問はない。

 選手たちもおおむね同様の見解だ。右ウイングで戦術的なキーマンを担った近藤は「対策はしてきたが、町田さんのプレスにやられた印象」と敗因を認めつつ、「ハマっている感じはしなかったし、自分のところにいいボールが入ればチャンスになっていたが、シュートまでいけなかった」と指摘。「ベースのところはブレちゃいけない」と前を向いた。

 最終ラインで攻撃の起点となったDF西岡大輝も「同サイドでハメこんでくる特長は分かっていたし、対応はすごくよくできていたと思う」と口を揃える。その上で「後半はサイドにもっとフィードを出したかったけど、距離感が悪く『出したところで……』という感じになってしまった」と相手が対策を打ってきてからの流れに課題を見出した。

 昨季途中に37歳の川井監督が就任して以降、「ボールを大事にする」(西岡)スタイルを突き詰めているという愛媛。ここまで4-4-2、3-4-2-1、4-3-3のシステムを使い分けつつ、相手の布陣に合わせて連動した守備も披露しており、シュート0で敗れたことにもそれほど大きな悲壮感はない。

「今年は完全にやられた試合はないし、やりたいサッカーはできている。あとはゴール前の局面。そこまでのクオリティーも徐々に上がっているし、守備ラインもコンパクトに戦い続けているし、支配している試合がほとんど。ただ、その自信を確信に変えるために勝利が欲しい。手応えを感じているぶん、もっともっとやらないとダメ」(西岡)。

 連敗につながった課題は解決する必要はあるが、進むべき方向に迷いはなさそうだ。

 なお、加えて引っかかるのはシュート0本の背景。今回で言えば、有田のシュートが認められなかった経緯だ。公式記録員が使用する資料によると、選手がシュートを狙った場合であっても公式記録のシュートには数えられないケースがあるようで、それは次のような文言で示されている。

「プレーの意図がシュートであっても、プレーの結果、ボールが大きくゴールを外れた場合、また守備側選手に簡単に防がれた場合は、シュートを記録しません。これはシュートの基準を統一するための措置です」。

 ここからさらに「ゴールを大きく外れた場合」「守備側選手に簡単に防がれた場合」に分かれて細かい基準が設定。今回のケースは後者にあたるが、ペナルティエリア内でのプレーでは「攻撃側選手が蹴ったボールが至近距離で守備された場合、シュートを記録しません」と定められており、有田のシュートもこれに該当したようだ。

(取材・文 竹内達也)

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