beacon

昌平MF鎌田は“ステップアップクラブ”福島からプロ入り。竹鼻GM「福島で活躍してもらってJ2、J1、そして日本代表に」

このエントリーをはてなブックマークに追加

左から昌平高の藤島崇之監督、福島内定の昌平MF鎌田大夢、福島の竹鼻快GM、湘南・牛島真諭強化担当兼スカウト

 身長180cmの兄・日本代表FW鎌田大地(フランクフルト)に対し、昌平高(埼玉)MF鎌田大夢(3年)は170cmと小柄だ。抜群のテクニックと相手の急所を見つける目などを評価されて福島ユナイテッドFC入りを決めたとは言え、細身の技巧派MFがプロで生き残っていくことは簡単ではない。

 それでも、将来性を評価高くされてプロ入り。中学3年時から鎌田をチェックし、面識もあったからこそ特に彼に対して厳しい目を持っていたという湘南ベルマーレ・牛島真諭強化担当兼スカウト(福島の提携クラブである湘南と福島のスカウトグループリーダー)も彼がプロのレベルに達してきたことを認める。

 ボールにかかわる回数が増え、相手にとってより嫌な選択をする選手に。牛島スカウトは「J1の選手になるためには、全ての部分でレベルアップしなければいけないのは間違いない」と指摘した上で、「(鎌田は)賢い選手なので、こうやったらJ1の選手と台頭にできると肌で感じながらできる選手。表現が正しいか分からないですけれども、『弱いところを弱いですませるのではなくて、隠すことができる』。ポジショニングやボールを運ぶタイミングをずらしてとか、それはこの家族の遺伝じゃないですかね。一本のパスだったり、大地と似ている部分がある」と兄同様に“賢さ”でここからステップアップして行くこと、川崎Fの名手MF中村憲剛のような「試合を決める選手」になって行くことを期待した。

 野心も持つ鎌田にとって、福島からのプロ入りは良い選択になるかもしれない。震災からの復旧・復興を目指す福島県にはJ2の開催基準を満たすスタジアムがまだない。その中で竹鼻快GMが「一つ大きなミッションとして掲げているのが人材育成。“ステップアップクラブ”という言い方を我々はしていますけれども、福島で活躍してもらって、J2、J1、そして日本代表にステップアップして行く選手をクラブとして作っていこうと。それがクラブの価値の向上になる」と説明するように、クラブは若手選手が福島から羽ばたいていくことを後押ししている。

 福島出身の選手では今年、MF白井康介が札幌で存在感を高めているほか、MF星雄次(現大分)らがステップアップ。今オフも上のカテゴリーに移籍するチャンスを掴む選手が出てきそうだ。鎌田も「身体を作りながら試合に出れるようになっていくのは難しいけれど、2年、3年で福島を飛び出していけたら良い。福島を飛び出してJ2、J1に挑戦したい。その後に海外に出て、大地みたいにブンデスとかプレミアで活躍できる選手になっていくというのが将来の目標です」と宣言した。

 昌平のようにボールを大事にしながら相手に向かっていくスタイルも福島入りの決め手に。細身で小柄でも福島で成長・活躍して「勝負を決める選手」になれば、提携クラブである湘南など上位カテゴリーのクラブへステップアップすることができる。目標はあくまで世界。将来を見据えて大学進学ではなく、高卒プロ入りを決断したMFが成長を続けて福島から上のステージへと駆け上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!
●2020年Jリーグ移籍情報

TOP