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1年越しの三ツ沢帰還、横浜FM天野純が感謝の逆転2ゴール「成長したところを見せられたかな」

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チームメートの祝福を受ける横浜F・マリノスMF天野純

[7.8 J1第3節 横浜FM3-2湘南 ニッパツ]

 盛大な見送りを受けて三ツ沢を旅立った10番はあれから1年後、無観客で静まるこの地に感謝の39番を背負い帰還し、昨季王者の再出発を印象づける2ゴールを沈めた。「成長したところを見せられたかな」。横浜F・マリノスMF天野純は試合後、リモート取材の場でたしかな手応えを語った。

 1点ビハインドで開幕3試合未勝利もちらつく後半18分、王者の反撃の口火を切ったのは今季限定とも言える異例の用兵だった。右ウイングで昨季のJリーグMVPに輝いたFW仲川輝人を左サイドに回し、システムを4-2-1-3から見慣れない4-4-2へと変更。交代枠5人制を踏まえ、ベンチに控えていた天野、MF水沼宏太、FWオナイウ阿道を一気にピッチへ送り出した。

「特別な狙いはないが、湘南が守備でハードワークをしていたし、自分たちがボールを支配した中でもう少し力強さがほしかった。フレッシュな選手を入れることで、力強くゲーム展開を変えてくれるのではないかと考えた」(アンジェ・ポステコグルー監督)。

 どんな指示より明らかな攻撃へのメッセージ、これにどんなプレーより明らかな結果で応えたのが天野だった。まずは後半21分、中盤中央でボールを受け、中を締めてきた相手を見ながら左寄りにドリブルの進路を取ると、虹をかけるような美しい軌道の左足ループシュートをゴール右上隅に落とし込んだ。

「あの形は僕、得意なので」。試合後のフラッシュインタビューで誇らしげに明かした天野は「あそこでボールを持った時、阿道と宏太くんの位置が見えた。でもGKが前に出ているのも見えた。そこら辺に落ちればいいなと。うまくゴールまで流れて、点が入ってくれて良かった」と淡々と振り返った。

 それでもまだ同点。「サブの選手たちで良いアップというか、良い準備ができていた。サブの選手たちが流れを変えるという意識を持って盛り上げてやっていた」。試合前からそう意気込んでいたという天野はもう一つ、大仕事を成し遂げた。

 後半32分、今度はよりゴールに近い位置で前を向いた天野はFWエジガル・ジュニオとのワンツーでペナルティエリア内に侵入。相手DFの股を抜いてシュートを狙うと、ボールは相手GKの股をも抜いてゴールマウスに吸い込まれた。

「ペナ内に侵入していくのは自分の中で多くない形だったけど、あそこで決め切るところは成長したところを見せられたかなと思う」。移籍先のロケレンが倒産したことにより志半ばに終わった欧州挑戦、その中でも遂げてきた進化を印象づける2点目となった。

 チームはその後1点を奪われたが、同じく途中出場のオナイウが決勝ゴールを沈め、両軍合計5ゴールの打ち合いに勝利。今季3試合目で待望の初白星を収めた。また天野にとっても丸1年前の2019年7月9日、自身の壮行セレモニーが行われたJ1第18節大分戦(○1-0)以来となる横浜FMでの勝利。あの日と同じ三ツ沢で、今度は自身のゴールで歓喜を導いた。

 昨季のJリーグ制覇により警戒がいっそう強まり、苦しい戦いを強いられている今季の横浜F・マリノス。「不甲斐ない形でマリノスに復帰してしまったという形になったので、受け入れてくれたマリノスになんとか恩返しをしたいという気持ちを持ってプレーしている」。そう意気込み帰ってきた背番号39がまず一つ、大きな上積みをもたらした。

(取材・文 竹内達也)
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