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開始1分でCB畠中が負傷…横浜FM指揮官の選択は“リベロ喜田”「彼は全ポジションをこなせる」

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リベロに入ったMF喜田拓也

[9.16 J1第24節 横浜FM3-0清水 日産ス]

 開始早々のアクシデントも冷静に切り抜け、横浜F・マリノスが連敗を3でストップさせた。アンジェ・ポステコグルー監督は試合後、突然のリベロ起用に8試合ぶりの無失点という結果で応えた背番号8を落ち着いた口調で称えた。

 清水戦の前半1分過ぎ、3連敗中の横浜FMに追い討ちをかけるような事態が襲い掛かった。接触のないところでDF畠中槙之輔が負傷し、プレーを続けることはおろか担架でピッチ外に運び出されたのだ。横浜FMは現在、DF實藤友紀も負傷離脱中で、DF伊藤槙人が前節の一発退場で出場停止。ベンチにセンターバックの選手はおらず、MF渡辺皓太が代わりに送り込まれた。

 そこで代わりに最終ラインを担ったのがボランチのMF喜田拓也だった。「経験ある選手でどこのポジションでも順応してこなしてくれる」。昨季15年ぶりの優勝をもたらしたチームリーダーに絶大な信頼を寄せる指揮官は、DF松原健が出場できない場合も喜田を最終ラインで起用するプランを持っていた模様。実際、畠中が倒れ込んでいる間に素早く喜田に指示を出していた。

「特に詳しい話をしたわけではなく、落ち着いてやっていこうということを伝えた。彼はすべてのポジションをこなせるし、自信を持って彼がそのポジションでやってくれると思った」(ポステコグルー監督)。そんな喜田は3バックの中央(リベロ)に求められる球出しとカバーリングを危なげなく完遂。FWティーラシン・デーンダー、FWカルリーニョス・ジュニオらクオリティーの高い相手FWとも対峙したが、周囲と連係しながら危ない場面はほとんどつくらせなかった。

 ポステコグルー監督は試合後のオンライン取材で「うまくやってくれた」と喜田を称賛。アクシデント後は直近3試合連続で採用している3-4-3システムではなく、シーズン序盤に採用していた4-3-3で松原とDFチアゴ・マルチンスを両センターバックに配置するというフォーメーションに変更する手もあったのではないかという旨の質問も出たが、「ロジカルに考えて、あのまま変えずにやるほうがいいと考えた」と自信を持って語った。

 またこの日はMF水沼宏太も本職ではないウイングバックのポジションで起用。この策も奏功し、水沼は浮き球パスでFW仲川輝人のスプリントを導いて相手DFの一発退場を誘発し、FWオナイウ阿道が決めたチームの2点目をアシストした。水沼は「ウイングバックのイメージはできていて、サイドで時間を作ること、ゲームを作ること、アップダウンを繰り返すことが大事だと思っていた。少しでもみんなの力になれたかな」と手応えをもって振り返った。

 一方、負傷者の続出には指揮官も頭を悩ませた。「今季は中2日、中3日で試合があって今日も複数の怪我人が出てしまった」と明かしたポステコグルー監督は「このサッカーのレベルでやっていくには選手の入れ替えが不可欠だ。これだけ一つのポジションで怪我人が出ると選択肢はない。最悪の場合、隣で話している通訳をCBで使うしかない」と冗談まじりに語り、「選手を守ることが一番の仕事だ。何がベストかを考えながら鳥栖戦に向けて準備したい」と慎重に先を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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