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その瞬間はマグレじゃなく、練習の賜物…再逆転弾で広島に勝利もたらした藤井智也「助けてもらっていた分を返せた」

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MF藤井智也が接戦を制す決勝ゴール

[8.14 J1第25節 柏2-3広島 三協F柏]

 激しいシーソーゲームに終止符を打ったのは、MF藤井智也の今季初ゴールだった。2-2で迎えた後半22分、右サイドからのシュート性のクロスがゴールに吸い込まれる。「シュートを狙ったゴールではなかったかもしれない。それがチームの勝利につながる得点だったのは、いい成功体験になりました」と喜びを語った。

 開始4分の先制ゴールはベンチで見守っていた藤井。だが、同32分にMF川村拓夢が脳しんとうの疑いで途中交代となると、藤井がピッチに出る。右サイドから持ち味の素早さを生かして縦へ。または中に切り込んでクロスを送り、決定機を演出する。

 だが、広島は前半途中からパスミスが目立ち、ボールを相手に握られる。前半41分に同点ゴールを決められると、さらに後半2分には守備の名手DF荒木隼人のオウンゴールで逆転されてしまう。それでも同16分にMF松本泰志のミドルで再び2-2の同点に。白熱する試合展開で、藤井の意表を突いたプレーが試合を大きく動かす。

 後半22分、藤井はMF野津田岳人からのパスを右サイドで受けると、DF三丸拡とマッチアップ。「三丸選手が縦を切ってきた後に、その後ろの選手も縦のカバーに来たのが見えた」。瞬時に状況を把握した藤井は、すかさず中にカットイン。左足でゴール方向に向かうインスイングのキックを放った。

 敵陣内には味方が多数。その中で目が合ったのはFWドウグラス・ヴィエイラだった。「正直、中の選手と目が合うという感覚がわからなかったんですけど、ドグとちょうど目が合った。ドグの頭を狙おうと意識しました」。だが、ボールはD・ヴィエイラの頭上を越えると、相手守備陣の判断を惑わす。そのままゴールに吸い込まれ、決勝弾となった。

 D・ヴィエイラの頭上を越えたラッキーゴールではない。藤井はその瞬間がマグレではなく、練習の賜物だったことを明かす。

「今年が始まってからも、有馬さん(賢二コーチ)と左足のクロス、カットインからのクロスを練習していた。この位置で上げたら、クロスをミスってもゴールになるかもしれないと言われていた。それが実ったのでよかったです」

 4連勝で2位に位置していた柏を撃破し、広島は暫定5位で上位陣に留まった。ルヴァン杯も含めた公式戦5連戦を4連勝でフィニッシュ。今季初ゴールという点よりも、チームの勝利に貢献できたことに、藤井は喜びを表現する。

「今年もほとんどスタメンで出させていただいて、結果が出なかったので、悔しいというか責任に感じていた。シュートを狙ったゴールではなかったかもしれない。それがチームの勝利につながる得点だったのは、いい成功体験になりました。連戦を乗り切ったチームは、もっとここから強くなる。それに貢献できたことはうれしい」

 試合開始早々に途中交代となった川村や、オウンゴールをしてしまった荒木への思いも語る。「隼人くんがいつもあれだけ体を張って、ゴール前に戻ってくれて勝った試合もたくさんある。拓夢もこの暑い中でウイングバックという不慣れなポジションでスタメンで出ていた。そういう意味で、僕もいつでも行けるように準備はしていました。あの2人だけではなくて、いままで助けてもらった分を、いろんな人に返せたゴールだったのはよかったです」。

 ゴール直後はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックが入り、即座に喜ぶことはできなかったという。「みんな寄ってきたので、僕のゴールかなと思ったんですけど……昨年の初ゴールもVARでチェックが入った。あの時間はマジやめてくれと思ったんですけど、なんとかゴールになったのでちょっとホッとしました(笑)」。安堵の今季初ゴールは、広島に大きな価値をもたらすゴールとなった。

(取材・文 石川祐介)
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