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圧巻のクロス対応で魅せた両軍CBコンビに達成感なし…浦和ショルツ「何かが足りなかった」植田「勝っていくのが鹿島」

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両チームともに何度も危険なクロスがエリア内を襲ったが、CB陣が完璧な対応を続けた

[6.4 J1第16節 浦和 0-0 鹿島 埼玉]

 浦和レッズ鹿島アントラーズの名門対決はスコアレスドローという結果に終わったものの、0-0の試合にありがちな拙攻が目立った形ではなく、むしろ両CBの圧倒的なクオリティーが際立つ一戦となった。それでも両チームの守備を支えた選手たちは試合後、それぞれ引き分けという結果に対する悔しさを口にしていた。

 試合後、鹿島のエースFW鈴木優磨は引き分けに悔しさをのぞかせつつも、「相手のCBがすごい集中していた。久しぶりにあんな集中してるCBとやったなという感じ。彼らも多分クロスから絶対やられないものを持ってると思うし、僕がクロスが得意というのもあったと思うけど、特に集中力があった気がした」と浦和の両CBを手放しで称えた。

 もっとも、守り切った側は冷静だった。鈴木と激しいマッチアップを繰り広げたDFマリウス・ホイブラーテンは守備面の対応を誇るわけではなく、「ボールを失ったり、ミスが多かったりとフラストレーションがたまる試合だった。勝ち点1しか取れなかったこともフラストレーションがたまる」と悔しそうに振り返った。

 DFアレクサンダー・ショルツも「お互いディフェンスに自信のあるチームで、スタイルの似ているチーム」と両チームのCBのクオリティーは前提とした上で、「どちらもハイプレッシャーをくぐり抜けることができなかった。僕らのミドルゾーンで彼らがボールを持っている時も、彼らのほうでそうしている時も、クロスをどちらもトライしたが、最終的にはあまり言えることもなかった」と淡々と述べた。

 またショルツはこの日の攻撃について「もっと危険にならないといけない。問題はビルドアップというよりセカンドボールが拾えなかった。風向きも後半のほうがやりやすかった。後半はわれわれも前半よりは良かった。ただしチャンスの時に正確なパスを出せなかったり、ミスがあったりして、最終的に何かが足りなかった」と冷静に課題を見つめていた。

 そうした見方は鹿島側も同様だった。

 浦和の終盤のクロス攻勢に立ちはだかったDF関川郁万は「勝ちたかったなというのがある。引き分けが続いていたので」とコメントしつつ、「ピンチもあまりなかったし、チャンスらしいチャンスもない固い試合だった。こういう試合でセットプレーを取れれば勝ちにつながる。もっともっとこういう試合を勝ち切れるように成長していきたい」と意気込んだ。

 またDF植田直通はドローをポジティブに捉える考え方に「すごく危機感を感じている」とも断言。その言葉にの裏には「自分の中にも引き分けでもいいという気持ちがあったと思うし、自分の言い聞かせる意味でも発言した」との思いがあるといい、「ゲーム展開的にも、自分たちが悪かったとしても良かったとしても、どういう立場でも勝っていくのが鹿島アントラーズだと思う。上に行くためには勝ち点1で満足せず、勝ち点3を最後の最後でどれだけ拾っていけるかが大事。次の課題かなと思う」と力を込めた。

 ともに上位争いを優位に進めるためには勝利が欲しかった一戦。0-0の結果以上に熱量溢れる試合になったようにも思われたが、激闘を演出したディフェンダーたちは堅守に満足することなく、さらに高みを見据えていた。

(取材・文 竹内達也)
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