[2.17 富士フイルムスーパー杯 2024 神戸 0-1 川崎F 国立]

　360度を囲んだ5万2142人の大観衆、耳を貫く応援の声、エンブレムの重み…そのすべてが身体を奮い立たせた。「フロンターレのエンブレムを背負って戦える幸せを感じました」。大学経由で川崎フロンターレに帰還したMF山内日向汰は国立競技場のピッチでトップチームのデビュー戦を迎えた。

　デビュー戦とは思えないほどの落ち着いたプレーぶりが光った。4-3-3の中盤の左で先発した山内は、攻撃の起点となるプレーをみせると、ゴール前への鋭い飛び出しをみせて、相手の脅威となっていた。

　国立競技場にはいい思い出があった。大学3年生の時に戦った大学選手権の決勝では、母校の桐蔭横浜大を初優勝へと導いた。昨年の天皇杯決勝にも内定選手として観戦に訪れていた。「国立にはいい思い出しかない。来たらタイトルを取れていますし、そういう意味では自分に合っている場所なのかなと思います」。

　ただ自己評価は辛口だ。「デビューとしては点数は高いと思いますけど、一選手とみると50、60点くらいだったのかなと思います」。俺はまだこんなもんじゃないとばかりに、「より脅威になれるプレーができると思っているので、突き詰めていきたい」と威勢よく話す。

　13日に中国でACL決勝トーナメント1回戦の山東泰山戦を行った川崎Fは、このあと中2日でホーム戦を戦うこともあり、先発11人全員を変更した。この日がターンオーバーメンバーであったことは否めない。山内自身も「もう一回、日々の準備をやる必要性を感じた」と気を引き締めると、「どんなチャンスでも自分がものにするという意識で日ごろから準備している。そういう意味ではいいコンディションでこの試合を迎えられた。またいつチャンスが来てもいいように準備したいなと思います」と力を込めた。

(取材・文　児玉幸洋)

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