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名古屋vs横浜FMの物議シーンにJFA審判委が見解「最適解ではなかった」選手交代認められず10人で同点被弾

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佐藤隆治JFA審判マネジャー

 日本サッカー協会(JFA)審判委員会は3日、レフェリーブリーフィングを開き、J1第5節の名古屋グランパス横浜F・マリノスで発生した選手交代時のトラブルについて説明した。佐藤隆治JFA審判マネジャーは「最適解ではなかった」と述べ、交代を完了してからプレーを再開するのが望ましかったと結論づけた。

 3月30日に行われた名古屋対横浜FM戦では後半30分ごろ、横浜FMの選手交代を巡ってトラブルが発生。当初、横浜FMはDF加藤蓮からDF畠中槙之輔への交代を予定していた中、ピッチ上のMF渡辺皓太が負傷したためMF山根陸の交代選手に追加しようとしたが、手続きが間に合わず、10人のまま試合が再開した直後に名古屋の同点ゴールが生まれていた。

 このプレーを巡っては横浜FMのハリー・キューウェル監督が審判に猛抗議し、主審からイエローカードを提示され、その後、横浜FMの選手交代が認められた。試合は後半アディショナルタイムに決勝ゴールを決めた名古屋が勝利。勝負を分けた“2枚替え”のトラブルに対し、試合後にはSNSを中心に議論が巻き起こっていた。

 佐藤JFA審判マネジャーはブリーフィングの事例紹介の冒頭で「この話からしないと先に進まない」と自らこの判定に言及。「競技規則の適用ミスではない」と明確な誤りであることは否定しつつも、「再開をしてはダメだったということはないが、もう少し別のやり方があったのではないか。最適解ではなかったと思っている」という見解を示した。

 今回の交代トラブルには、横浜FMはこの時点ですでに2回の選手交代を実施しており、畠中のみ投入すると交代回数が上限に達するため、いったん交代を待ったという事情も背景にあった。もっともプレーが停止している間、名古屋も2人の選手交代を行ったことで、横浜FM側の交代選手も準備ができており、交代を認めてもプレーに支障が出るほどの時間はかからなかったみられる。

 佐藤JFA審判マネジャーによると、各審判員には今回の事象を共有。「11対11でやるのがサッカーの基本。でも必ず待つかはケースバイケース」と述べつつ、今回のケースでは「いろんなことを考えた時に、プレーを止めて交代を完了してからやるということもあったんじゃないか。受け入れられるレフェリングが大事なんじゃないかと話した」と明かした。

 また交代手続きに時間がかかる理由の一つに、第4審の役割の多さもある。選手交代の際、第4審は①交代5人枠・上限3回の確認、②交代用紙とメンバー表の照合、③選手の用具確認を行うのが役目。さらにプレミアリーグなどではチーム側に委ねられている④交代ボードの作成もJリーグでは行う必要がある。佐藤JFA審判マネジャーは「過負荷になっているのは間違いない」と認めた上で、改善の意向を示した。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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