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豪快ボレー弾で首位撃破の神戸FW武藤嘉紀、ルーキー大胆起用の指揮官を絶賛「采配が素晴らしかった」

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ヴィッセル神戸FW武藤嘉紀が決勝ゴール

[4.13 J1第8節 町田 1-2 神戸 国立]

 エース不在のヴィッセル神戸が首位・FC町田ゼルビアの猛反撃をかわし、2-1で勝利した。終盤に1点を返された中、勝敗を分ける追加点を決めたのはFW武藤嘉紀。後半44分、DF初瀬亮の左コーナーキックをエリア内で冷静に収めると、豪快な左足ボレーでゴール左上隅に突き刺した。

 前半27分の決定機は相手GKのファインセーブに阻まれたが、2度目の絶好機を決め切った。「(ゴール前は)ミスマッチではあったので前半も決め切りたかったけど、もう一回チャンスがあると思っていた」。初瀬の左CKがDF本多勇喜のスクリーンプレーでファーサイドに流れてきた中、あえて身を引く判断が光った。

「初瀬選手のボールの軌道を見て、最初は突っ込もうと思ったけど、流れてくるんじゃないかなと思った。本多選手がうまく潰れてくれて、トラップ集中して、相手のいないところに蹴り込む。そしたらとんでもないところに突き刺さりました(笑)」。GKの到底届かないコースにズドンと決まったシュートには照れ笑いを浮かべた。

 今季首位の町田に挑む国立決戦で、エースのFW大迫勇也を負傷、日本代表GK前川黛也を出場停止でそれぞれ欠いた神戸。大迫の穴はルーキーMF山内翔を本職外の左サイドハーフで起用することで、MF佐々木大樹とFW宮代大聖を前線に回して切り抜けると、ゴールマウスはベテランのGK新井章太が見事に守り切った。

 武藤は攻撃陣の一角として「彼(大迫)がいる時の良さもあるし、逆に今日みたいにフレッシュな選手たちが裏を狙う良さもある。大迫選手がいなかったから勝てなかったと言われるのはチームとして嫌だとみんな思っていたと思う」と振り返り、「その中でJ1首位にいる町田相手に内容ともに打ち勝てたのは一人一人の自信につながったと思う。チームとしても良い競争が生まれた」と前向きに語った。

 なかでも武藤はプロ初先発で初ゴールとなる先制点を挙げた山内を手放しに称えた。

「出られなかった翔が必死で頑張ってチャンスを掴んで、ゴールを決める。その出来事はチームにとって本当にプラスになると思う。また若手にいい刺激が入ってくるんじゃないかなと思う。(ゴールは)僕が狙ったというよりは彼のところにこぼれていった感じだけど、落ち着いて決められたのは彼の実力。出番がなくても良い練習をし続けた結果だと思う」

 続けて武藤は「あとは監督の采配ですよね」と吉田孝行監督の手腕を称賛。「あそこで彼を使うのは僕も2日前くらいまでわかっていなかったけど、采配が素晴らしかった。この流れはチームにとっても非常にいいものだと思う」というスクランブル起用に加えて、町田対策として繰り出した戦法にも手応えを口にした。

「相手は全部ロングスローで押し込んでくるのがわかっていたし、前に素晴らしい選手たちがいて、競り合いが強い選手たちもいて、かつスピードがある選手もサイドにいて、とにかくやってくることは明白だった。僕らはそこでじれずに我慢すること、よりコンパクトにすること。いつもはハイプレスをするけど、相手の戦術に合わせて、相手の良さを消して、僕らが取った後にはカウンターに出ていく。そういったところがうまく功を奏したと思う」

「今回は特殊なサッカーに合わせた部分もあって、受け身にはなったけど、そういう余裕もあった。いつもならガチガチで、いいところで勝負したい気持ちもあったけど、あまりに特殊なサッカーなので、相手の良さを消して自分たちの良さを出すという点で監督の采配も素晴らしかった。チームとしてみんながじれずに言われたことをやったことが良かった」。国立競技場での勝利は単に勝ち点3という結果をもたらしただけでなく、チームの一体感にも手応えを深める機会となったようだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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