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前鹿島の田代が無念の山形デビュー。「もっと出たかった」

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[3.6 J1第1節 湘南1-1山形 平塚]

 シャワーを浴びて汗はぬぐえたが、悔しさまではぬぐえなかった。鹿島から新加入したモンテディオ山形の元日本代表FW田代有三は先発したが、シュートは0本で後半17分に途中交代。試合後、表情には悔しさがあふれ出ていた。

 「もう少し出たかった。出来はあまりよくなかった。まだ形になっていない。やることがはっきりしていない面がある。もう少しスペースで受けたりしたかったけど(雨でピッチが)スリッピーで、タイミングが難しかった」

 声を振り絞るように取材に答えた。それだけ無念の62分間だった。出場機会を求めて王者・鹿島から移籍。背番号10を与えられ、チームのため、何よりも自身の“再起”のために燃えていた。しかし、連携はいまひとつで、湘南の激しいマークにも苦しみ、持ち味のポストプレーやヘディングが発揮できなかった。

 期待の長谷川悠との2トップだった。ともに空中戦とポストプレーが売りとタイプが同じ。難しい面もあるが、かみ合えば破壊力が増しそうな組み合わせだ。しかし、この日はまだ連携面で万全でなかった。「2人の距離が離れないように意識した。それはできたけど、2人で崩したり、もう少し縦の関係になって、1人がスペースに走って、もう1人が中に入って、というのを意識してやらないといけない」と田代。小林伸二監督も「田代は空中戦があるから、(攻撃が)単調になった。長谷川とのコンビはまだ悪かった」と指摘した。

 本格的にコンビを組んでまだ約2週間ということもあり、お互いのポジショニングやパス交換のタイミングなどでズレが生じた。ただ、田代と長谷川のせいだけではない。チームとして、どう“ツインタワー”を生かすのか、形が定まっていなところもあった。

 田代が交代したあと、慣れ親しんだ長谷川&古橋の凸凹2トップにしてから、チームとして意思統一が進み、サイド攻撃が活性化した。そんな状況だっただけに、田代には余計に悔しさが募った。

 「やりにくいとかはないですよ。まだコンビを組んで1、2週間。これからどんどん良くなってくると思う」と長谷川は言う。田代も「もっとコミュニケーションをとってやりたい」とコンビ成熟に意欲的だ。時間がきっと解決してくれる。田代&長谷川の“ツインタワー”は、これからさらに威力を増していくはずだ。

<写真>山形FW田代
(取材・文 近藤安弘)

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