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千葉が川崎Fに勝利、再開初戦のF東京戦に弾みつける

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[4.16 練習試合 川崎F1-2千葉 麻生グラウンド]
 川崎フロンターレジェフユナイテッド千葉は16日、川崎・麻生グラウンドで練習試合を行い、主力組が出場した1試合目は千葉が1-2で勝利した。45分ハーフで行われ、前半23分にFW矢島卓郎のゴールで川崎Fが先制したが、同25分に千葉がMF佐藤勇人のゴールで同点とし、さらに後半26分にFW深井正樹が逆転ゴールを決めた。
 千葉は上々の形で1週間後のリーグ戦再開・FC東京戦(フクアリ)を迎えることになりそうだ。練習試合とはいえJ1屈指の強豪・川崎Fに、ともに主力組が出場した1試合目で2-1の逆転勝ちをつかんだ。特に佐藤勇人の同点弾は『新生ジェフ』の1つの形が現れたゴールだった。
 4-5-1システムで挑んだ千葉は0-1の前半25分、1トップを務めたJ歴代最長身FWのオーロイのポストプレーから、PA右を右MFの新助っ人マット・ラムがドリブル。ここでタメを作る間にボランチの佐藤が後方から飛び出し、ボールを受けて右足を一閃。綺麗な形でゴールを奪った。オーロイを起点にサイド、ボランチと中盤がうまく絡む形でゴールが取れた。
 佐藤は「相手はJ1の上のほうのチームだけど、そういう相手にどういうプレーをして、結果を取るかが重要だと話をしていた。J1とJ2で差はあるけど、勝ちという結果が得られたことが重要ですね。ゴール? 自分の1つの良さなのでなくしたくなかった。監督が求めていることでもあるので。うまく上がっていけた」と手応えを口にした。
 後半26分の深井のゴールはカウンターだったが、左サイドから斜めに走り込んでDFラインの裏を突いたもの。これもサイドにアタッカーを据えているチームが目指す1つの形でもある。守備面でも1失点はしたが、完全に崩された場面は少なかった。佐藤も「フロンターレにボールは回されたけど、完全に崩されたというのはあまりなかった。自分たちのほうがやりたいことができたと思う。ビッグチャンスも3回くらいあった」と自信を深めていた。
 リーグ再開の1試合目は24日で、ホームにFC東京を迎える。選手たちは気合が入っている。昨年まで千葉に在籍していたMF谷澤達也がいるほか、千葉の“黄金期”を作った元日本代表MF羽生直剛もいる。佐藤は「楽しみですね。再開の1発目で、ホームだし、昇格争いの本命ということで、モチベーションがある。その試合で結果を残せたら自信になる」と闘志を燃やす。
 トップ下で先発することが濃厚なMF米倉恒貴は「谷澤さんもいるし、羽生先輩(千葉・八千代高の先輩後輩)もいるので負けたくないです。序盤の山となる試合だと思うので、勝てたらチームに勢いがつくと思うので勝ちたいですね」と気合十分。チームリーダーの坂本將貴は「誰が相手でも、チームとして、もちろん個人としてもしっかり戦うだけです」と言いつつも、「前評判の高いチームなので、逆にやってやりたい気持ちはある」と本音を漏らした。
 千葉には、もうひとつのモチベーションがある。東日本大震災で一部県民が犠牲となり、また、沿岸部は液状化現象の被害を受けて多くの人が影響を受けている。FC東京戦では、J1昇格の最大のライバルを倒すということだけでなく、被災者を勇気づけるためにも、ジェフイレブンは勝ち点3を掴みたい気持ちが強い。
 佐藤は「みんな(サポーターや被災者は)何かしらパワーをもらいたいと思っていると思う。その一つにサッカーがある。Jリーグ再開を楽しみに思ってくれている人に、少しでも(元気でも勇気でも)与えられるものは与えたい。こういう状況で、サッカーどころではないかもしれないが、これが自分たちの職業。サッカーで発信できることもあると思う」と選手たちの想いを代弁した。この日、川崎Fに勝利した自信と手応えを“武器”に、FC東京も撃破するつもりだ。
(取材・文 近藤安弘)

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