beacon

Jリーグが48日ぶりに再開、「宮城の希望の星」仙台が川崎Fに逆転勝ち!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.23 J1第7節 川崎F1-2仙台 等々力]

 3月11日に発生した東日本大震災の影響で中断していたJリーグが23日、3月6日以来48日ぶりに再開した。震災によって選手たちが被災し、クラブハウスや本拠地ユアテックスタジアム仙台が損傷するなど甚大な被害を受けたベガルタ仙台は再開初戦で川崎フロンターレと対戦。アウェー、神奈川県川崎市の等々力陸上競技場で開催された試合に臨んだ仙台は先制されたものの、0-1の後半28分にFW太田吉彰が同点ゴールを決めると同42分、右FKをDF鎌田次郎が頭で押し込み2-1で逆転勝ちした。

 ゴール裏に掲げられた「宮城の希望の星になろう」の横断幕。激しい雨がたたきつける中、被災地の少しでも早い復興と被災者の笑顔の回復への願いを胸に仙台の選手たちが躍動した。前半5分に太田が右足でゴールを狙い、14分にはMF梁勇基の右FKに鎌田が飛び込むなど果敢にゴールへ迫ると、その後は相手にボールを支配されながらもカウンターからFW関口訓充や太田が一気にボールを押し進め、相手のスピードあふれる突破に対しては鎌田や角田誠が激しいスライディングタックルで応戦する。

 チームは前半37分に先制されたが、ゴール裏を黄色に埋め尽くしたサポーターの必死の声援に後押しされる中で「あきらめない」サッカーを披露。0-1の後半28分に左サイドからFW赤嶺真吾へつなぎ、最後はPAへ飛び込んだ太田が右足で打ち抜く。DFに当たってコースの変わったボールがゆっくりとゴールへ吸い込まれて1-1。そして42分、梁勇基の右FKを鎌田が打点の高いヘッドで合わせると、歓喜の決勝ゴールがゴール右隅を破った。震災後の苦難を乗り越えて立ったピッチで勝ち点3を勝ち取った選手たちは試合後、サポーターとともに喜びを爆発させていた。

 仙台はこの日、赤嶺真吾を頂点に右に太田、左に関口を配置する3トップの4-3-3システム。赤嶺の背後に梁勇基が構え、ダブルボランチが高橋義希と角田誠、4バックは右から菅井直樹、チョ・ビョングク、鎌田、朴柱成でGKは林卓人が先発した。
 一方、開幕2連勝を目指すホームの川崎Fは4-4-2システム。GKが杉山力裕で4バックは右から田中裕介、井川祐輔、横山知伸、小宮山尊信。中盤は柴崎晃誠と稲本潤一のダブルボランチで、右MFが登里享平、左MFに中村憲剛。矢島卓郎と山瀬功治の2トップで再開初戦に臨んだ。

 立ち上がりはDFラインの背後をシンプルに狙うも精度を欠き、また手数をかけすぎたところでミスの出ていた川崎Fだが、中盤を奔放に動き回る中村が雨中で別格のボールコントロールを披露する。背番号14を起点にグラウンダーのショートパスがつながりだすと、26分には中村と山瀬の2人で相手ディフェンスを崩し、山瀬が右足シュート。カウンターから仙台・菅井にシュートまで持ち込まれる場面もあったが37分、川崎Fは右サイドの登里がPAへ絶妙なスルーパスを送る。右サイドのゴールライン際でボールを受けた山瀬が中央へ折り返すと、走りこんだ田中が右足ダイレクトでシュート。これがGK林の右脇を抜けてゴールへと吸い込まれた。

 1点をリードされた仙台は後半、サイドまではボールを運ぶものの、高さで勝る川崎F守備陣にクロスボールを完璧に跳ね返されていた。なかなかチャンスをつくることのできない仙台は後半17分、高橋に代えてFW中島裕希を投入。前線に赤嶺と中島を並べて1点をもぎ取りにいく。そして28分、この日最大の決定機を逃さずに太田が同点ゴールを奪った。

 ゴールを決めた太田は足を攣らせたままガッツポーズ。自力で起き上がることができず、そのままMF富田晋伍と交代した。チョ・ビョングクもMF斉藤大介と交代し、仙台は交代カードを使い切った。一方、後半21分に山瀬に代えてMF田坂祐介をピッチへ送り出していた川崎Fは、追いつかれた5分後の33分に矢島に代えてFWジュニーニョを投入する。雨中の総力戦となったは試合は終盤、登里のスピードあふれる突破や、稲本が個人技で局面を打開するなど、川崎Fが押し込んだ。だが42分に仙台はセットプレーから鎌田が地元を勇気付ける決勝弾。川崎Fは42分、登里に代えて、FW棗佑喜を投入するが、必死のディフェンスを見せる仙台から同点ゴールを奪うことができなかった。

 過去7戦未勝利の等々力で、地元に捧げる勝ち点3を獲得した仙台。次節4月29日にはホーム・ユアテックスタジアム仙台に浦和レッズを迎え撃つ。

(取材・文 吉田太郎)

TOP