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宮沢→前田の“元味スタコンビ”で決勝点、前田「ここで勝てて良かった」

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[7.31 J2第23節 東京V1-2大分 味スタ]
 大分トリニータが今季2度目の2連勝をつかんだ。試合後、敵地まで駆けつけてくれたサポーターの前で、選手たちは一列に整列して肩を組み、ジャンプしながら喜びを分かち合っていた。J1昇格へ向けてこれ以上負けらない大分だったが、敵地・味の素スタジアムで行われた東京V戦に2-1勝利をゲット。導いたのは“元味スタ・コンビ”だった。
「ボールが良かったです。前に森島がいて、ブラインドになってくれた。DFも自分を見ていなかったと思う。マークもついてこなかったので、うまく入れた。とにかくボールが良かったです」
 1-1の後半29分、FW前田俊介が決勝弾を決めた。PA右外でのFKのチャンス。キッカーは前節の湘南戦でCKからゴールをアシストしているMF宮沢正史だった。左足の名手が狙い済ましてニアサイドにボールを入れると、前田がFW森島康仁の背後から飛び込みヘディングシュート。2試合ぶりの今季4得点目で、2-1勝利に導いた。
「練習通りですね。コースを狙って蹴った。ニアの方に蹴れば、誰か入ってくると思って入れた。森島が壁になるのは作戦? それは言えませんけどね(笑)。これからもあることなんで」。キッカーの宮沢もしてやったりの表情だった。前半5分のMFチェ・ジョンハンのゴールも起点となるパスを出したのは宮沢だった。2ゴールを導き出し、満足そうな表情を浮かべた。
 前田と宮沢のこの2人、元FC東京選手で、味の素スタジアムを本拠地としていたことがある。慣れ親しんだピッチ、そしてかつてのライバルを相手に躍動した形だ。宮沢は01年から06年までの6シーズンプレー。得意の左足で長短のパスを繰り出し、FC東京ファンから愛されてきた。この日も同様のプレーを披露。大分は3-4-3システムで、両サイドMFがかなりワイドに開いたシステムを採用しているが、宮沢はボランチの位置から何度も効果的なサイドチェンジを出した。
 前田は昨季途中からFC東京にレンタル移籍。味スタでプレーした。しかし、FC東京ではリーグ戦6試合の出場に終わり、ゴールも0と悔しい思いをした。そんな中、今季初の古巣ピッチで先発でプレー。しっかりとゴールを決めた。前田も「半年しかいませんでしたけどね。まあ、ここで勝てて良かったです」と振り返った。
 今季2度目の連勝をつかんだ大分だが、勝ち点は24の11位とJ1復帰に向けて厳しい戦いが続いている。この日も試合内容的には、東京Vに押し込まれる時間が多かった。とはいえ、J1昇格条件の3位千葉との勝ち点差は11で、まだまだ諦める数字ではない。この試合で導入から7試合目となった3-4-3が、今後さらに成熟してくれば、面白い存在になれる可能性がある。
 主将の宮沢は「きょう勝てたのは大きいですね。今後はもう少しボールをつないで、チームとしてもっとゴール前で崩していけるようになりたい」と意気込んだ。効果的なボール回しができ、左サイドのチェ・ジョンハンの個人技、森島の高さなど“素材”をより効果的に行かせれば、結果がついてくるはず。次戦は8月7日の敵地・湘南戦。23日のホーム戦では3-1で勝利している相手だけに、今季初の3連勝をつかみに行く。
(取材・文 近藤安弘)

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