beacon

堅守速攻に徹して勝利した広島・千葉「メリハリがあった」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[3.31 J1第4節 F東京0-1広島 味スタ]

 FC東京にボールを支配されながらも、サンフレッチェ広島は一瞬を逃さなかった。

 後半11分、右サイドのMFミキッチのクロスを、ゴール前に入り込んだFW佐藤寿人が合わせて、決勝点を挙げた。「FC東京は攻撃的なチームだし、ボールを動かしながらやっていた。自分たちと似た部分もあるから、自分たちがどう失点しているか考えた部分もあります」と佐藤は決勝点を振り返る。

 この日の広島のサッカーを言葉にすると、堅守速攻となるだろう。最終ラインはウイングバックを含めた5枚になり、中盤の4枚も合わせて9人でブロックをつくった。そして、ボールを奪ったら前線の佐藤にボールを蹴り込む。そこで起点をつくれなければ、無理には攻め込まなかった。

 ボールを支配するサッカーが持ち味と言われる広島が、そうした理由を「勝ち点3獲得にこだわったから」とMF森崎和幸は言う。「途中から相手はうちのつなぎを奪ってから、攻める形を狙っていた。あまりつなぎ過ぎて悪い形でボールを失うよりも、自分たちがつなげないときは裏に蹴って、相手にボールを取られたら、またブロックをつくって守ろうというのが狙いだった」と語る。

 実際に前半17分に高い位置でMF石川直宏にボールを奪われて、速攻につなげられたのを皮切りに、同24分までに3度、ショートカウンターからピンチを招いていた。そこから広島は、徹底して守備を固めて速攻を狙った。

 それでも後半11分の決勝点の場面は、チームの持ち味を出せた結果とDF千葉和彦は言う。「つなぐときはつなげたし、メリハリがあったと思う。決勝点も僕からトシ(青山敏弘)に出して、そこからミキッチにつながった」と、振り返る。

 森保一監督をはじめ、選手たちは口々に「できればもっとパスを回したかった」と口言う。それでも今季無敗の相手に勝利するため、広島は割り切った戦い方を見せた。主導権を握れない試合での戦い方があることは、今後も大きな武器になるはず。何より2試合連続ゴールを挙げた佐藤が「清水戦で決定機を生かせずに負けているので、まだまだ満足はできない」と語っているように、勝利しながらも一人ひとりが課題と向き合っている姿は、さらなる伸びしろを感じさせた。

TOP