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古巣と対戦のF東京・太田「チームに迷惑をかけた」

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[4.28 J1第8節 F東京0-1清水 味スタ]

 ボールがFC東京の左サイドバックに渡るたびに、アウェーの清水エスパルスサポーターからは、大きなブーイングが起こった。昨季まで清水に在籍したDF太田宏介は、今季加入したF東京で完全にレギュラーに定着し、開幕から8試合連続でスタメン出場している。

「ブーイングは聞こえていましたよ。初めての経験でしたが、全く気にはなりませんでしたし、特別にやりづらさはありませんでした」と話す太田は、この試合でも高い位置を取り、チャンスを演出した。後半9分にはMF石川直宏のシュートを演出し、同27分にも中央のMF梶山陽平にパス。梶山からMF谷澤達也に渡ったボールを、再び前線に走った太田が受け、ゴール前にクロスを入れる。ボールはDFがクリアーし、ファーサイドに流れたが、そこでボールを拾った石川がシュートを打ったが、ボールはゴール上に外れて行った。

 だが、後半28分に2人目の退場者を出した清水に対し、F東京は2人の数的優位を得た。その中で相手を押し込む展開が続いたが、ゴールを挙げられない。「ちょっと距離感が良くなかったというか、孤立してしまうシーンがあったので、もう少しワンツーとかそういう崩し方ができればよかった」と振り返り、「僕のクロスの精度ももう少し高ければよかった」と振り返った。

 しかし、何より悔しかったのは、同32分の場面だろう。太田のバックパスがFW高原直泰に渡ってしまうと、そこからの速攻でFW高木俊幸に決勝点を決められた。「サイドにボールを集めて、そこからサイドチェンジをしたかったですけど、個人的には鹿島戦(1-2)と同じようなミスから失点しているので、反省しないといけないし、チームに迷惑をかけているぶん、これから巻き返さないといけない」と唇を噛んだ。

 とはいえ、ミスをした太田だけの問題ではないだろう。「ダイナミックな展開がチームとしてできていない」とMF石川直宏が振り返るように、失点の場面でも相手も人数をかけていた左サイドの太田にボールが集まってしまった。数的優位の状況で、広いスペースにボールを出せなかったことは、ここ数試合で見られている課題である。

 これでチームはリーグ戦3連敗。しかも、2試合連続でノーゴールだ。「退場者が出て相手が引いたことで、真ん中のスペースがなかったのは事実。僕の位置ではフリーでもらえていたので、最後のクロスの精度にこだわらないといけないかなと思います」と太田は繰り返し反省し、「とにかく勝ちたかった」と古巣との一戦を悔しがった。
(取材・文 河合拓)

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