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初スタメンの町田・鈴木孝「課題はいっぱい見えた」

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[4.30 J2第11節 横浜FC2-4町田 ニッパ球]

 第6節の東京V戦(1-2)に初出場して以来、4試合連続で途中出場していた町田ゼルビアのFW鈴木孝司。30日の横浜FC戦は、彼にとって初めてスタメンでピッチに立った記念すべき一戦となった。

 試合を振り返り、第一声で「緊張はしなかったのですが、あまり動けませんでした」と振り返る。FW平本一樹と2トップを組み、前線でポストプレーをこなした。「練習からほとんどやっていない形だった」と鈴木孝は振り返るが、手応えはつかんでいる。「近くでプレーするように話しました。スルーとかフリックとかにお互いに反応できるように良い距離感を意識できたと思います」と話す。

 この試合、1得点3アシストと大車輪の活躍を見せた平本も「(鈴木)孝司が1トップのような形で張ってくれた。これまでは僕がやることが多かった役割ですが、もともと自分は1.5列目の動きの方が好きなので。彼の下で動けるので、やりやすかった」と口にしている。

 これまでチームはなかなか前半戦に得点できなかった。だからこそ、立ち上がりから得点を挙げたいと鈴木孝は考えていた。その狙い通り、チームは前半33分にMF鈴木崇文のゴールで先制すると、同44分にも平本が追加点を挙げた。

「先制点は大きかったですね。でも、これまでだと先制しても追いつかれていたのですが、今日は前半のうちにもう1点取れました。自分たちがボールを回してカウンターという普段の戦い方ではないのですが、相手を崩すというより高い位置でボールを奪って、ショートカウンターで2点が取れたことも意味があると思います」と鈴木孝は振り返る。自身のゴール、アシストという記録は残せなかったが、前線で相手DFが嫌がるポジショニングを取り、前線からの守備も献身的にこなした鈴木孝のプレーは、効果的だった。「全員守備はチームに求められることで、FWだから守備をしなくてもいいというわけではありません」と言う鈴木孝は、指揮官の要求を最前線で体現した。

 それでも、前半限りで交代となった。オズワルド・アルディレス監督は、鈴木孝のプレーに不満があったわけではなく、あくまで戦術的な理由だったことを説明する。
「あの交代は、戦術的な理由です。前半終了したとき2-0で勝っていました。相手の立場で考えれば、最初からすごい勢いで前からくるのではないかと想像しました。そうなったときに私たちはカウンターを有効に使いたかった。カウンターについては、勝又慶典の方が、良いという判断です」と説明し「私は選手たちのパフォーマンスを嬉しく思っています」と付け足した。

 初めてスタメン出場したことで、鈴木孝にも見えたことが、ある。「足下にボールが入らなかったときに、どうやって動き出して相手の守備を崩していくか、とか。課題はいっぱい見えましたね。練習から改善していかないといけないなと、改めて感じました。今日は勝ったので、次に出場した時にも、この良い流れのままプレーしたいです」と語る。途中出場した勝又は、この試合で足首を痛めて自ら交代を要求した。鈴木孝にとって、2度目のスタメン出場の機会は、おそらく遠くない未来にくるはずだ。

(取材・文 河合拓)

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