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[MOM1249]鹿島ユースDF寺門宥斗(3年)_カムバックした男が叩き込んだ決勝ヘッド

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.20 Jユースカップ準決勝 鹿島ユース 3-1 清水ユース ヤンマー]

 後半24分、交代ボードを掲げる第四審の横に立った男の後ろ姿が、鹿島アントラーズユースのサポーターたちのハートに火をつけていた。鹿島においてチーム最強のDFを意味する背番号3を預かっていたのは、3年生の寺門宥斗だった。

 夏の終わりに第五中足骨を骨折。よもやの離脱を余儀なくされた守備の要は、「みんなが勝ち残ってくれていた」Jユースカップを大きな目標としてリハビリに励んできていた。実戦復帰を果たしたのは高円宮杯プレミアリーグEASTの最終節(12月7日)。まさに「ギリギリ間に合った」状態だった。

 本来のCBではなく右SBの位置に投入された寺門に期待されていた役割は、やはり守備である。もちろんセットプレーでの得点力も備えた選手ではあるが、押され気味の戦況である。右SBで先発していた宮本健太が警告を受けてからの交代であることも考えれば、まずリスクを避けるプレーから入りたいところである。本人も「まず守備から」の心積もりだった。

 だが、寺門は持ち前の勇猛さと決断力を封印していたわけでもなかった。28分、スローインの流れから左サイドでボールを鹿島がボールを持ち続ける流れで、この試合では珍しく流れが停滞していた時間帯だった。マークすべき相手の左サイドハーフが縦への意欲を隠さない途中出場のFW色摩雄貴に引っ張られる形で後退していたのを見た寺門は、前への進出を決断する。そしてそのとき、左サイドではMF田中稔也のパスを受けた左SBの大里優斗が左足でハイクロスを放り込んできた。

「フワッとしたボール」(寺門)は、ヘッド一番の男にとっては大好物。味方の色摩すらはね除けて叩き付けたジャンプヘッドは、相手GKの手をすり抜けてゴールラインを割り込んで、勝ち越しゴールとなった。「初めての経験だった」という大ケガからのカムバックを果たした男が叩き込んだ1点である。士気が上がらぬはずもない。鹿島はその後1点を加えて逃げ切りに成功。決勝戦へと駒を進めた。

 迎える決勝では、宮本が累積警告で出場停止となったため、再び寺門に出番がありそうだ。この日の試合後には宮本から「決勝は頼みます」と思いを託された。「ミヤケン(宮本)がずっと戦ってきてくれたから」ファイナルがあることは重々分かっている。23日の決勝戦、鹿島が誇る勇猛なストッパーは、「38人全員で戦う」ことを誓っている。

(取材・文 川端暁彦)
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