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[国体少年男子]FW久永虎次郎が地元・鹿児島で決勝点。元福岡MFの父に感謝のFWは攻撃の起点、ゴールで大阪府の歴史を変える

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大阪府FW久永虎次郎(G大阪ユース、1年、右)は決勝点をマークした

[10.13 国体少年男子2回戦 大阪府 4-3 静岡県 吹上浜海浜公園運動広場]

 悲願の初優勝へ、難関を突破した。大阪府は過去開催された13大会の国体で準優勝5回、3位3回、4位1回。だが、どうしても壁を破ることができていない。今大会は初戦から優勝21回の静岡県と激突。立ち上がりの課題が出て3分に失点したが、前半のうちに4点を奪い返し、4-3で撃ち勝った。

 坂元博晃監督(摂津高)は、「乗り切れたのはデカいです。初戦敗退の可能性も十分にあった。(だが、選手たちは静岡の名前を)気にしなくなっている」とホッとした様子。そして、「(守りなどの課題は出たものの、)前半ああやって崩す形を何回も作りながら、前半で4点取っているので、それはそれで凄いなと思います」と“どつきあい”の展開を制した選手たちを評価していた。

 10番MF當野泰生(G大阪ユース、1年)とFW中積爲(G大阪ユース、1年)のコンビネーションによる2発で逆転。さらに右SB中島悠吾(G大阪ユース、1年)が攻め上がりから見事な右足シュートを決めて突き放す。そして、當野が獲得したPKをFW久永虎次郎(G大阪ユース、1年)が決めた。

 久永は中学時代まで生活した地元で凱旋ゴール。福岡などのMFとして活躍した父・久永辰徳(現福岡U-18監督)が監督、代表を務めていたFCアラーラ鹿児島から、環境面などを考慮し、今春からG大阪ユースへ進んでいた。

「地元で、去年まで鹿児島の代表でやると思っていて、こういう機会をもらえて、凄く嬉しいし、活躍したいなと思っていました。1回戦で静岡ということでなかなか強い相手だったんですけれども、(當野)泰生からPKを譲ってもらって蹴ったんですけれども、決めることができて嬉しかったです」と久永。持ち味とするゴールへ向かう動きや起点になる動きも表現し、勝利に貢献した。

 G大阪ユースのチームメートでもある中積との2トップは今大会屈指の破壊力。中積は久永にとって「得点力あってFWとして良い競争相手だと思います」という存在だ。この日は、ともに攻撃を牽引し、1得点。ここからも競い合いながら得点を積み重ねて行く。

 父は自身が幼い頃に引退。現役時代のプレーはほぼ見ることができなかったが、G大阪ユースでともに元日本代表の明神智和コーチや大黒将志コーチから「お父さん凄かったよ、すんごい上手かった、と言ってもらって嬉しいですね」。その父からFCアラーラで厳しく教わったことは現在、活きているという。

「気持ちの面とかFWとして決め切る、勝たせるということを教えてもらいました。技術面もちゃんと教えてもらって良かった」。今年8月から福岡U-18を率いてチームを好転させている父と直接対決したいという思いも語っていたが、まずは大阪府にとって初の日本一に集中する。

「目標はもちろん優勝ですけれども、得点王は絶対に狙いたいです。(プレースタイルは)得点というよりは起点になることが多いんですけれども、起点になってボールを繋いでゴールに入っていくとか、その役割をすることはもちろんなんですけれども、ゴール前でボールをもらってもっと貪欲に狙っていきたいと思っています」

 大阪府は、課題の守備面も意識して「奪守闘勝」を掲げて日本一に挑戦中。坂元監督は、「みんなで歴史変えようや、と。テーマを持ちながら、先輩たちがこれだけ頑張ってきたというのをこっちでは伝えたつもりなので」と語る。

 久永は「みんなで守って、みんなで攻める」と強調。その上で「まだ優勝していないので、監督もスタッフもみんな気合入っていて、歴史変えようということで優勝狙っています」。鹿児島県が初戦で敗れたために、旧友たちと直接対決をすることはできなかった。その分の思いも込めて戦い、ゴールを決めて、大阪府の歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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