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[国体少年女子]女子決勝は大阪府MF中野梨緒(大商学園高、1年)がMOM!会場をどよめかせる2ゴール

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後半28分、大阪府MF中野梨緒(大商学園高、1年)が決勝ゴール

[高校女子サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.16 国体少年女子決勝 大阪府 3-2 鹿児島県 国分運動公園陸上競技場]

 初優勝がかかった大一番で会場をどよめかせる2ゴール。大阪府のヒロインとなったのがMF中野梨緒(大商学園高、1年)だ。

 今年3月にU-16女子日本代表へ初選出された中野の持ち味は推進力溢れるプレーとパンチのある左足。「野性的で負けん気が強い。ハートが強い。左利きでもあって、凄く特徴がある」と井尻真文監督(星翔)が評せば、主将のDF太田美月(大商学園高、2年)もこう続ける。「思いっきり足を振れる。球際が強くて守備も良いし、ゴールへの嗅覚というかボールが来そうな所が分かる。ここという時のスピードや力強さが野性的だと思います」。

 自チームや代表での登録はDFだが、そうした彼女の野性味を生かすため、大阪府では左サイドハーフとしての起用がメイン。「決めたいという気持ちが強かったし、やってやるという気持ちが大きかった」という今大会は福島県との初戦で先制点を奪うと、準々決勝の岡山県戦でもチームの2点目をマークしていた。

 決勝戦でも勢いは止まらない。「ストロングポイントは走る部分。めちゃくちゃドリブルできるわけではないので、とりあえず強く前に行こうと思っている」と話す中野はボールを持ったら、とにかく前へと仕掛けていく。左サイドから中へと入っていった前半30分のシーンは、相手がファールでしか止められないほどだった。

 突破で見せ場を作りながらも前半はシュート0本で終わったが、1点リードで迎えた後半2分には歓喜を呼び込むファインプレーを披露する。FW笠崎愛乃(大商学園高、1年)、FW牧田乙愛(大商学園高、2年)と繋いだボールを左サイドの高い位置で受けると、ゴール前に入れたボールがそのままゴールネットに吸い込まれた。会場を沸かす一撃だったが、「クロスを入れようとしたら、どんどんゴールの方に向かっていって入っていた。狙っていたわけではありません」と本人は笑う。

 二度目の大仕事は2-2で迎えた28分だ。中央をドリブルで運んで、左サイドのFW佐藤ももサロワンウエキ(大商学園高、1年)に展開。「シュートを打つかなと思っていた」と振り返るが、ゴール前に飛び込むとボールが自らの下に帰ってくる。混戦状態だったが、「パスを出してくれたので、自分がやるしかないと思った」と粘り強く放ったシュートが決勝点となり、大阪府にタイトルを持ち込んだ。

 今大会はスコアラーとしてだけでなく、ピッチ外での貢献も大きかった。「本当に明るくて、チームのムードメーカー。元気な子です」と評するのは太田。自身も「佐藤選手もムードメーカー的な存在で、一緒に大阪を盛り上げていた。チームが上手く行かない時も、元気づけようと意識していた」と口にする。

 大商学園でもすでに切り札として重宝されているが、今大会の活躍を見ると今後はチームでもより重要な役割を担っていくのは間違いない。「なでしこジャパンに入りたい。大事な時に点が獲れる選手になりたい」と将来の夢を語る中野にとって、今大会は更なる飛躍を遂げるきっかけになりそうだ。

(取材・文 森田将義)
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森田将義
Text by 森田将義

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